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環境NGOによるボン会議の報告のまとめ

温暖化 国際交渉

NGOによる報告

1ヶ月以上経ってしまいましたので、ちょっと今更な感じもしますが、そういえばまだ紹介してなかったので、日本の環境NGOによるボン会議のまとめをご紹介。

まずは、文書として用意されているもの。

それから、NGO合同(CAN Japan)で行った報告会のまとめ。Ustream動画へのリンクと、プレゼン資料へのリンクも下記ページにあります。

上のページではUstream動画で紹介してますが、下記YouTube動画でも、報告会の様子はご覧頂くことはできます。

政府などによる報告

日本政府による「結果概要」は下記に。

また、ほとんど公式文書化している、IISDによるEarth Negotiations BulletinのSummaryは下記にあります。記録的な文書をお好みの方はこちらがおすすめ。

次回は?

次回は、10月20日〜25日の日程で、ドイツ・ボンにおいて再び準備会合(ADP2.6)が開催されます。そして、その次が、今年のメインであるペルー・リマでのCOP20・COP/MOP10(12月1日〜12日)です。

2050低炭素ナビ(日本版2050パスウェイ・カルキュレーター)

温暖化

先日、低炭素ナビ2050っていう、オンラインで操作できる簡易シミュレーターの発表会に行ってきました。

ウェブ上で操作できるウェブ版と、Excelファイルをダウンロードして操作する2つのバージョンがあるんですが、どちらも基本的な中身は同じです。

何ができるかっていうと、エネルギーの需要側と供給側に関する想定をそれぞれいくつか選ぶと、自動的に排出量の経路が描かれて、それが2050年時点でどくらいの温室効果ガス排出量削減につながるのかを計算してくれるというもの。

需要側・供給側の選択肢で選べるものが、わりあいと絞られているので、NGOが出しているようなシナリオをこのカルキュレーター上で再現するのは無理ですが、それでも、いくつかの選択肢をちょちょいと選ぶだけで、どんな感じになるのかが計算されるというのは、ツールとしては面白いですね。

どこのどんな想定が、どんな感じで効いてくるのかを知る上でも。

いじってみた想定とその計算結果は、シェアすることもできるようになってます。

ツールとして、こうしてオンラインで作業できる、っていうのは、これからの時代は必要な要素かもしれません。ひょっとしたら、政策議論参加にとっても大事な手法になるかも。

気候サミット2014へのオバマ大統領と習近平総書記の参加?

温暖化

気候”サミット”

今年9月23日に、潘基文国連事務総長の主催で気候サミット2014(Climate Summit 2014)が開催されます。
これは、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)に基づいて、継続的に開催をされている締約国会議(COP)などの会議とは別で、言ってみれば一過性のイベントなのですが、招待されるのが基本的に各国首脳なので、注目を集めています。

COPとの比較で言いますと、COPやそれへ向けた会議というのが、通常は1〜2週間の会期で開催され、各国から実務レベルの交渉官が集まって交渉が行われるのに対し、今回のサミットは基本的に一日だけのイベントで、首脳クラスが主役です。
そういう性質上、細かいルールやら何やらを議論するというよりは、気候変動問題に対して、各国首脳クラスがモノを言う事によって、政治的な勢い(英語ではよくmomentumと言ったりしますが)をつけることに主眼があります。
今回は、各国のスピーチの他に、色々な分野で、様々な国や地域が実施しているイニシアティブを発表しまくるということもされるようなので、すでに動いているものも含め、首脳クラスからお墨付きを与えることによって、さらに盛り上げていこうという意図があるんでしょうね。

オバマ大統領と習近平総書記の出席?

この気候サミットに、オバマ大統領と習近平総書記が出ることが確認されたとの記事が流れています。

RTCCの記事の書き方だと、直接両国政府に確認がとれたというよりは、フィゲレス国連気候変動枠組条約事務局長が両国首脳が来ると言ったというだけのようなので、ちょっと微妙です。
が、The HillやGreenwireの記事では、ホワイトハウスの確認もとれたと書かれているので、おそらくアメリカの方は確認がとれているようで。
中国の方はまだ確定かわからないですね。
出席すればいいってもんでもないですが、アメリカと中国の首脳レベルから、パリ合意へ向けた強い意志が発表されれば、それは間違いなく追い風にはなるでしょうね。
安倍首相にも出て頂くことを期待したいと思います。

太陽と温暖化

温暖化 科学・技術

Skeptical Science

Skeptical Scienceというウェブサイトがあります。気候変動(温暖化)の科学について解説しているウェブサイトで、特に懐疑論と言われる議論でよく出てきそうな議論について、1つ1つ、丁寧に解説をしているウェブサイトです。色々な国の研究者の人たちが集まって作っているウェブサイトで、長く更新が続けられており、つらつらと読んでいるだけでも、大変勉強になります。
先日の当ブログの記事で言及したYeas of Living Dagenrouslyの中で出てきた、Katharine Hayhoeという科学者が、ドン・チードルに、「今の温暖化は自然現象だけでは説明できない」という説明をするシーンがあります。その時に、よく言われる太陽活動と気温変化の関係を示したグラフが出てくるのですが、「あのグラフ、どっかでみたことあるな〜」と思ったら、やはりSkeptcial Scienceで使われているのと同じでした。
Hayhoeさん自身、ウェブサイトでSkeptical Scienceを紹介しているので、やはりここからとったんでしょうね。

再現できる?

なんとなくその説明を読んでいるうちに、そのグラフ、再現できるかな〜と試してみたくなりました。最近は、科学的データのウェブでの公開は大変に広がってきていて、こういうの、意外と自分で作れちゃったりするんですよね。難しい統計的処理や数学的処理がされているグラフなんかは無理ですけど。
Skeptcial Scieneに載っているグラフは、少しデータとしては古くなってきていたので、ちょっと試してみることにしました。ちなみに、そのグラフというのは下記です。近年になると、太陽活動と平均気温の傾向には明らかな差があるので、太陽活動だけで説明しようとするのは無理があることが分かります。



同サイトでは、画像データだけでなく、元データをExcelで公開しているので、結構自由に使うことができます。

PMOD、ACRIM、RMIB???

「まあ、元データの在りかもわかっているし、結構簡単に再現できるかな」と思ったのが間違いでした。やっぱ難しいもんです・・・。

最初、試しにIPCC第5次評価報告書を見てみると、第1部会報告書の第8章に太陽に関する記述がありました。そこに掲載されていたのが下記の2つの図。
最初のは、衛星による観測が始まって以降の記録から作られたデータ。。
2つ目のは、さらに遡って、太陽の黒点観測があった頃の記録から作られたデータを合わせたものです。





太陽から地球がもらっているエネルギー(放射)の総量のことを、太陽総放射照度(TSI)と呼ぶそうです。このTSIの観測は、ざっくり言うと、衛星による観測が始まってからの1979年以降は、基本、同じデータを使いつつも、3つの研究機関・グループによるデータの作成があるそうです。
「なんで同じデータなのに3つもあるのか」と思ったら、どうやら、データを一貫したものとして再構成する手法に違いがあるようです。もともと、人工衛星のデータというのは、人工衛星自体が数年から10年弱しか持たないので、データは基本継ぎはぎで、その継ぎはぎを一貫したデータとして再構成するのに、色々な手法があるようです。
で、その3つというのが、PMOD、ACRIM、RMIBというらしく、最も有名なのは前2者で、それぞれ、スイスとアメリカの機関によるデータです。
上述のSkeptical ScienceのウェブサイトではPMODのデータを使っていたので、私も、PMODのデータをお借りしつつ、気温データについては、日本の気象庁のデータを活用して、データの再現を試みました。ただし、PMODのデータは、衛星観測がされるようになってからのデータしかないので、それ以前のデータについては、上記Skeptical Scienceに倣い、 マックスプランク研究所の研究者ら(Krivova et al. 2007)がウェブサイトで公開している、過去の黒点の数から作ったデータを使ってみました。その結果が下記です。


Skeptical Scienceのグラフでもそうですが、上のグラフでも、11年の移動平均でグラフを平滑化してます。これは、太陽の黒点周期が11年と言われており、その周期で変動があるから、だそうです。
しかし・・・です。残念ながら、きちんと再現できているとは言えません。同じPMODのデータ使っているはずなのに、カーブの形は同じでも、ちょっと数字が違いますね。おそらく、何らかの補正がされているのだと思いますが・・・なんでだろ。

IPCCの数字を使用してみたグラフ

少し色々考えたみたのですが、よくわからんので、別のアプローチをとってみることに。
先に見たIPCCの第5次評価報告書の8章には、補足資料というのがついており、そこに、最終的にIPCCが使っているTSIのデータが掲載されています。それだと、1740年からのTSIの数字が一貫した形で掲載されています。



形としては、大した違いはないのですが、こっちの方が、データに一貫性があるのでむしろいいかもしれませんね。生データに近い方を重視する人は、むしろPMODとかのデータに立ち戻った方がいいのかもしれませんが。
まあ、いずれにせよ、素人が作成したグラフですので、学術使用には耐えませんが、それでも、こうしたグラフが作成してみることができるだけ、科学データが公開される環境になってきていることは大変にありがたいことです。今回作ったデータは、下記です。いずれのグラフでも、近年は特に両者の傾向に大きな差がありますね。

IPCCでの結論

太陽と気温の関係については、よく「温暖化は太陽活動の周期のせいだ」とか「いやそうじゃない」という二元論に陥りがちですが、IPCCの結論は、「太陽「だけ」じゃ説明できなくて、人為的なCO2も、諸々含めないと説明できないよね」というものです。それを端的に示したのが下記のグラフ。



上の方にのっかっているオレンジが太陽活動の影響で、真ん中の灰色がCO2の影響です。
太陽活動による影響は、直接的なものだけでなくて、実は(ひところ話題になった)北極振動にも影響与えているなどの説もありますし、宇宙線の量に対する影響もあるという説なんかもあります。後者については、まだまだ研究が蓄積されておらず、かつ影響もそんなに大きくないだろうというのが、IPCCでの科学者たちの結論のようですが、まだまだ色々な研究がされているようです。

気候変動ドキュメンタリー:Years of Living Dangerously

温暖化

ジェームズ・キャメロン監督

仕事で関係してもらっている人から教えてもらったドキュメンタリーです。

米テレビ局のShowtimeが作成したものです。ハリソン・フォードドン・チードルトーマス・フリードマンなどの著名ジャーナリストが出ているもので、基本、彼らが同時並行で世界の色々な所にいって気候変動の実情を見てくるというもの。
初回は上記で言及した3名だけですが、他のエピソードでは、ジェシカ・アルバマット・デイモン、アーノルド・シュワルツネッガーも出てきます。
監督はあのジェームズ・キャメロンです。こんだけビックなメンツを気候変動ネタに終結し、良質なドキュメンタリーに仕上げられるのはすごいですね。
というか、そもそも俳優や著名人が、こうした問題に関心を持って、自分の顔を出して発言するだけの意識があるのが、ややうらやましい。

初回話は日本でも見れる

下記のYouTube動画で見ることができる初回話では、ハリソンフォードがNASAで気候変化の状況を教わり、さらにインドネシア森林伐採を見に行く一方で、ドン・チードルはテキサスに行って干ばつの影響を見たりしています。また、フリードマンは、シリア内戦に対する干ばつの影響を調べたりとか。見れるのは残念ながら初回だけで、あとのエピソードは、一般の海外ドラマと同じく、見る事はできません。
日本のテレビ局やらどこかで、字幕版作ってくれないかなー。

6月は最も暑かった?

温暖化

気象庁の世界と日本の気温データ

関東では暑い日々が続きますが、気象庁によると先月(6月)は、1891年の統計開始以降、最も暑い6月だったようです。

2014年6月の世界の月平均気温(陸域における地表付近の気温と海面水温の平均)の1981〜2010年平均基準における偏差は+0.32℃(20世紀平均基準における偏差は+0.68℃)(速報値)で、1891年の統計開始以降、最も高い値となりました。世界の6月平均気温は、上昇傾向が続いており、長期的には100年あたり約0.68℃の割合で上昇しています。

じゃあ、日本はどうだったのかというと、史上5番目だったようで。
2014年6月の日本の月平均気温の1981〜2010年平均基準における偏差は+1.08℃(20世紀平均基準における偏差は+1.62℃)で、1898年の統計開始以降、5番目に高い値となりました。日本の6月の月平均気温は、長期的には100年あたり約1.15℃の割合で上昇しています。

気象庁のウェブサイトって、結構情報充実しているんですよね。地方版の気候変化レポートとかもあって、結構勉強になります。

JAMSTECによる熱中症と気候変動の関係についての研究

時をほぼ同じくして、JAMSTEC独立行政法人 海洋研究開発機構)が、熱中症と気候変動の関係についての研究を発表しました。


独立行政法人海洋研究開発機構(理事長 平 朝彦、以下「JAMSTEC」という。)アプリケーションラボと高谷清彦氏(元東京大学大学院新領域創成科学研究科研究生)の共同研究チームは、関東地方における熱中症の死亡者数と気候変動の関係について、1980年から2010年まで約30年間の統計データ(※1)と気象観測データ(※2)の解析を行いました。その結果、死亡者数の変動と日最高気温が35°Cを越える猛暑日数の変動が強く関係しているとともに、猛暑日数の変動には熱帯域のエル・ニーニョ/南方振動現象(※3)やインド洋ダイポールモード現象(※4)が関わっていることを明らかにしました。本成果は、熱中症の発生に熱帯域の気候変動現象が間接的に関わっていることを示唆するものであり、今後、気候モデルを用いて気候変動現象を精度良く予測し、猛暑日に関する情報を事前に社会に発信することで、熱中症による被害を予防していくことが期待されます。


今年も既に気象災害が発生しています。こうした数字は、現在は必ずしも「気候変動による被害」としては認識されてません。個々の事象を「これは気候変動が原因である」と断定することは難しいからです。できたとしても、もう少し時間が経ってからでしょうね。
だからといって、こうした被害が急増している中にあって、手をこまねいているわけにもいかないので、上記のプレスリリースでも指摘がされているように、日本社会でも徐々にこうした被害への予防策を整えていかないと大変だと思います。特に、これから日本は人口減少社会+高齢化社会なので、長期的に見れば、熱中症による被害というのは、これまで以上に深刻になっていくのではないでしょうか。
そして、そもそも気候変動の進行を止めるために、温室効果ガス削減対策にもうちょっと真剣にならなければなりません。

ニューズウィークの温暖化特集に寄せて

温暖化

最近、ちょっと嬉しいことがありました。
今週号(2014年7月22日号)のニューズウィークは「温暖化の暴走」という特集で、世界各地での温暖化影響のレポートが主でした。2℃を超える温暖化によってどんなことが期待されるかについて、やや煽り気味ながら(笑)、詳しく書かかれています。

週刊ニューズウィーク日本版 2014年 7/22号 [雑誌]

週刊ニューズウィーク日本版 2014年 7/22号 [雑誌]

実は、この特集の一部を書いておられるMark Hertsgaard さんという方に、以前、突然メールを頂いて、アジア地域の温暖化影響の情報を集めているが、英語での日本の情報はないかと聞かれました。その時は、残念ながらあんまり英語で整備された情報って、日本にはないんだけれども・・・と言いながら、いくつか心当たりを紹介したりしました。
余談ですが、日本って、本当に英語で海外に発信している情報が少ないんですよね。この分野に特有なのかもしれませんが、気候変動の科学的知見、影響、対策まで、英語で情報を提供するのは、結構大変だったりします。まあ、私の働いているところも、英語情報貧弱なのであんまり文句を言えた義理ではないですが・・・。
さて、このHertsgaardさんって方は、かなり昔からこうした環境問題の記事を書いておられる方で、私も学生のころに、Earth Odyssey という名前の本を、授業で読んで大変面白い(というと不謹慎ですが)と感じた覚えがあります。
Earth Odyssey: Around the World in Search of Our Environmental Future

Earth Odyssey: Around the World in Search of Our Environmental Future

私が読んだのは大学院生の時だったので、今から13年前くらいだったと思います。もう、そんな経つんですねえ。その後、日本語にも翻訳されました。日本でいえば、石弘之さんの『地球環境報告』みたいな本です。温暖化問題を始め、色々な地球環境問題の仕組みを知りたければ、より学術的な本の方がいいのでしょうが、環境問題が人や自然にとって何を意味するのかの気付きや問題関心を持つには、やはりこういうジャーナリストの方が書いた本がいいですね。
世界の環境危機地帯を往く

世界の環境危機地帯を往く

13年前に読んだ本の著者から問い合わせを受ける、というのは、嬉しい驚きです。しかも、自分が結局、その分野で仕事をすることになったので、なんというか、過去からの「初心を忘るべからず」という便りのようで。少し、昔、こうした本を読んで勉強し始めたころの気持ちを思い出しました。
Heartzgaardさんは、自前のサイトもおもちで、そこでは近著も紹介されてます。ちょっと読んでみようかなという気になりました。