Live Earth

IPCCの第四次評価報告書に関するコメントは書き始めたら意外と長くなってしまったのでまだまとめることができていない。本当はそっちを書かないとと思いつつも、時節ものなので、今回はLive Earthについて。

Live Earthは、Save Our Selves (SOS) というケビン・ウォール氏が設立したNGOが中心となって昨日(7月7日)開催した世界8つの都市(日本は2箇所なので正確には9つ)でのコンサートである。An Inconvenient Truthアル・ゴア元副大統領の呼びかけに応じて、地球温暖化防止を訴えるということで、うちの団体もコンサートの国際的なパートナーとして各地でのコンサートに協力した(らしい)。

Live Earth本体のウェブサイトはここで、ストリーミング動画等へのリンクもある。また、日本のウェブサイトはこちらである。

日本の開催都市は、Live Earth本体のウェブサイトでは "Tokyo" となっているが、実際には千葉県の幕張メッセと京都市東寺の2箇所での開催であった。幕張メッセの方には、絢香大塚愛倖田來未などの若者に人気のあるアーティストの他、Linkin Park(初来日!)、Rihanaといった海外アーティストも参加した。京都の方は、YMOBonnie PinkUAら、幕張とはまた違ったファン層狙いが伺えるアーティストが参加した。

海外でも、MadonnaRed Hot Chili PeppersThe PoliceBon JoviMetallicaShakira、・・・などなど有名アーティストが色々と参加していた。

コンサート自体とは別個に、環境面でのアピールも各地で行われたようだが、幕張メッセの会場では、コンサート会場の他に、環境NGO・団体がブースを出展し、かつ食べ物の販売も行なわれる別スペースが設けられた。うちの団体も環境NGOの一つとして、そのスペースで出展をさせてもらっていた。私も直接の担当ではないので、特別にはなんもしてないが、一応、幕張メッセのコンサートに参加した。

現場に入るまでは、正直言って環境ブースになんぞ人は来るのだろうかと思っていたが、意外と来てくれた。なんでかなあと考えてみるに、コンサート会場のホールはそのスペースを通らないといけないようにしていたことが1つある。それから、当日までどのアーティストがどの時間帯に出演するのかは知らされておらず、贔屓のアーティストしか興味ない人でも、来ておいて時間を潰さざるを得ないようになっていたため、みんな意外と(終日のイベントだったので)ご飯を食べがてら、時間を潰すためにブースを回ったりしてくれていたようである。これらはみんな事務局が狙ってやったことだろうが、なるほど、そういうことなのかと思った。

当日の参加者数がどれくらいだったのかはわからないが、前売り券は1万弱売れていたらしい。これだけの面子だったらもっと売れてもよかったような気が素人目からすればするが、日本での開催地決定やアナウンスはかなり遅れていたので、広報の時間があんまりなかったのだろう。

アーティストの演奏はごく一部しか聞けなかったのだけれど、一種のお祭りで、なかなか楽しげな雰囲気だった。

ぶっちゃけた話、地球温暖化防止には大して興味はなくても、上記の面子なら贔屓のアーティストの演奏だけを聞きに来た人たちは多かったのではないかと思う。特に、初来日だったLinkin Parkのファンにはそれがあったのではないだろうか。別にそれが悪いということは全くなく、私たちからすれば、普段参加する環境イベントとはまた違った層の人たちに対してアピールができる機会で、裾野を広げるという意味で、けっこう良い機会であると同時に、難しい機会でもあった。

実はあんまりうちのブースに人が来てくれると思っていなかったのだが、うちのブースで無料で提供していたボディーシールが好評で、それを付けてくれた人を見てまた別の人がわざわざもらいに来てくれるというフィードバック効果があったりしたのは発見だった。

アーティストの演奏でまともに聞いたのはCoccoLinkin Park、Rihanaだけだったのだけど、一番印象だったのはCoccoの演奏だった。彼女は、曲の合間に、例のヘリポート建設地点に先日現れた親子2頭のジュゴンの話を涙ながらにし、次の曲をそのジュゴンのために捧げますと言って歌っていた。ジュゴンの話の時には、観客もしーんとなって聞いており、けっこうメッセージとしては強烈だったようである。

野暮なことを言えば、その問題とLive Earthの主テーマである地球温暖化防止はちょっと離れているのだが、そうしたメッセージをアーティストが本心で言うと、これだけの人が耳を傾けるのか、と思って感銘を受けながら聞いていた。私が環境ブース会場のステージでやったプレゼンなんてだれも聞いてやしなかったのに・・・・。

あとでちょっとだけ聞いたLinkin Parkについては、純粋に音楽を楽しめた。冒頭の1、2曲のあと、観客が前に出すぎたせいで位置を直すためにだいぶ長い間コンサートが中断してしまっていたのはちょっと辟易したけど。

押し合いへし合いを控えるのも観客のマナーかもしれないが、あの手のジャンルの音楽をやるバンドの演奏でそういうのが起きるのは当たり前だと思うので、それが予期できていなかったのだとしたらちょっと事務局はお粗末である。観客は終始友好的なムードだったけど。

海外でのLive Earthもおおむね盛況だったようである。実際に参加した人だけでなくて、ウェブサイト上でのストリーミングやメディアでの中継で見た人も多かったようだ。貧困について開催されたLive 8しかり、こうした形での問題へのアピールも今後発達してくるのかもしれない。

“コンサート自体が大量のエネルギーを消費するのに”と、ちょっと穿った見方をすればできなくはないが、それで数万人の人にじかにメッセージが届き、ネットやメディアを通じてそれ以上の人たちが関心を持つなら、そこで消費されるエネルギーと排出されるCO2以上の価値はあると思う。大事なのは、こういうのがきっかけでないとメッセージが届かない人たちまでメッセージが届くことだ。このコンサート一個にで何が変わるというわけでもないが、地球温暖化防止に関するメッセージに触れる機会がこうして増えるのは前進だと思う。

欲を言えば、日本のアーティストにももうちょっと直接的に地球温暖化について触れてほしかったけど・・・、まあそれは、普段やっていないことを無理に嘘ついてもしようがないけど。