仕事と生活のコントロールを取り戻す

新年になってすでに半月。

年末年始の間に、出張で参加した国連気候変動バリ会議に関する個人的な感想を書こうと思っていたにもかかわらず、すでにそれすら達成できていない・・・。休みに入った途端、身体が「休んでも良い」と察知したのか、思いっきり風邪を引いてしまったという不可抗力もあるのだが、相変わらず自分で立てた目標すら達成できないのは、われながら情けないと年初から反省。

これに象徴されるように、ここ数年、仕事と生活のリズムのコントロールがうまくできていない。
色々と溜まっていく仕事を、必死でこなしているわりには、振り返ってみるとあまり大した成果が上がっていなかったり、また、複数の仕事が同時並行的に発生した際の取りこぼしも最近は目立つようになってきた。

さらに、仕事の性質上、気候変動の影響や政策に関する様々な情報に触れる機会が多いにもかかわらず、それらの情報をきちんと消化できていないし、じっくり考えて、そして自分なりの考えをアウトプットとして出すまでに持っていくことができていない。

この傾向は私生活についても同じで、たとえば、本や映画について面白いものを読んだ後に、本当はコメントでも書き留めておけばよいのに、それもできていないので、あとでこういうブログ等のネタにも使えていない。

とりあえず日々はこなしているように周りには見えているかも知れないが、実際は、日常の忙しさの波に押し流されてしまって、コントロールや主体性を失っている感がある。

こういう状況はやっぱり良くないので、今年は、少し改善したいと思っている。

そんな気持ちから、最近ではライフハック系の本や、Getting Things Done (GTD)系の本を読んだり、また実際にツールを使ったりしながら、なんとかしようともがいている最中である。

自分の仕事や生活のリズムを取り戻すのに、何もライフハックだのなんだのというものに頼る必要はないのかもしれないが、そこはそれ、なんか「新しいことに取り組んでいる」楽しさがないとやりづらかったりするので、一つのきっかけとしてはいいと思う。ハマりすぎて、本末転倒にならないようには気をつけたいけれども。

そんな中、特に気に入った本やツールを、後日の自分のための記録の意味も含めて、少し紹介しておきたい。

こもり まさあき 『Lifehack with Mac:ストレスフリーの快適 MACLIFE ガイド』 BNN新社 2007年

Lifehack with Mac―ストレスフリーの快適MACLIFEガイド

Lifehack with Mac―ストレスフリーの快適MACLIFEガイド

この本は、Macで使える様々なソフトウェアやウェブサイト(Web2.0系のツール)を紹介している。ウィンドウズの使用を前提とした本が多い中で、これはあくまでMacユーザーのために書かれているので、やっぱり読みやすい。

Remember the Milk

上述の本の中でも紹介されているが、仕事の取りこぼしを少なくしたり、どういう仕事があるのかをきちんと把握するために使えるタスク管理ツール。ウェブサイトなので、もちろんMacでなくても使える。もとは英語だけれど、日本語版にもなっている。

名前からしてそうだが、ブログの中にもユーモアがあって面白い。こういうちょっとした遊び心があるツールというのは好きだ。操作が簡単で、かつ、キーボードのショートカットが充実しているのがとてもよい。

ウェブサイトがベースなので、家でも職場でも使える。

それと、携帯でタスクを見たり追加したりできるのが結構重宝する。仕事の行き帰りの1時間半の通勤の中で、ふと「ああ、あれもやらねば」と思ったことを追加しておけるのは、忘れやすい私のような人間にとっては大事だ。

Macなら、Quicksilverからのタスクの追加もできる。

SOHO Notes

現在試用中(30日間試用できる)。これは、Mac用のソフトだ。

もともとは、ちょっとしたメモを書きためていくものがほしかった。思いつきのアイディア、記事やウェブサイトで気になったものなどの雑多なメモを、ブログでやるみたいに、簡単なキーワードもしくはタグを追加して管理できるものがほしかったのだ。

最初は、上の『Lifehack with Mac』で紹介されていたGTDTiddlyWikiを使ってみたのだが、確かに超シンプルで使いやすいものの(ソフトウェアですらないといのは感動)、動作が遅くなっていくみたいだったし、SafariよりもFirefoxCaminoが適しているみたいで、Safari+Inquisitorユーザーとしてはちょっと不満があった。使えなくはないのだけれど。

それなら、オンライン上ではてなに書いて、プライベート・モードにでもしてしまえば良いと思われるかもしれないが、ものによっては、自分のMac内にあるPDF等とのリンクが必要だったりするので、これについてはオンラインのものよりもソフトウェアで欲しかった。

それで、いろいろ探しているうちに見つけたのが、Sticky Brainというソフトだったのが、これが、上のSOHO Notesと名前を変えて売られているらしい。

いろいろなメモの形式に対応していて、PDFも扱えるし、Keywordを設定して、Macユーザーにお馴染みのスマートフォルダで管理出来る。

なかなか使い勝手が良いので、もうしばらく試用を続けてみて、問題がなければ購入しようと思っている。

勝間和代 『効率が10倍アップする新・知的生産術:自分をグーグル化する方法』 ダイヤモンド社 2007年

本書は今、ビジネス書のある書店に行けば大体平積みになっている。

最初、目にしたときには「知的生産術」の言葉に「おっ」と思いつつも、ありがちなビジネスのノウハウ本かと思って、手に取るのはためらわれた。なんとなく、最近巷に溢れるビジネス系のノウハウ本や自己啓発本に徒に手を出すのはためらわれる。

でも、数日後、やっぱり知的生産術の言葉に引かれて、手に取ってぱらぱらとめくってみたら、けっこうよさそうだったので買って読んでみた。

著者はその道では随分と有名な人らしいのだが、こういう分野に私は疎いので、著者の本を読むのは初めてだった。「知的生産」という言葉は、やはり梅棹忠夫氏の『知的生産の技術』を思いだす。私は『知的生産の技術』は大学・大学院生時代の研究という文脈で参考にしたので、「知的生産」という言葉自体にアカデミックなイメージがあるが、勝間氏による本書はもうちょっと適用範囲が広く、研究だけでなくて、一般的な仕事全般に言える内容になっている。

冒頭から著者本人の資格やら受賞歴の話から始まるので、「自分がどんだけすごいか」の自慢話と思ってしまいそうになるが、読み進めて行くと、そういうわけではなくて、自分がどういう風に考えて、今の“スタイル”を構築してきたのかがきちんと説明されていて参考になる。

自分では実践できていないけれど、「そうだよな」と納得できる部分がいろいろあって、また、新しく勉強になった部分もあった。

「ノートパソコンは補助脳」という位置づけの仕方はまさしくその通りだと思うし、本に対する態度も共感する。本との出会いは一期一会で、気になると自分への投資だと思って買ってしまう。その本に二度と出あえなかった場合の方が問題に思えるから。もっとも、私の場合は財政的理由から「月50冊」とまではいかないけれど・・・。

人に説明する際には、ピラミッド・ストラクチャーやMECEが大切だ、という所などは、なんとなくそうなんだろうとは思っていたがそういう言葉は知らなかったし、改めて説明されるとなるほどと思わされる。人にものを説明する際に、私などは複雑な事象を複雑なまま説明してしまって、かえって相手を混乱させてしまうということを、話し言葉でも書き言葉でも非常によくやってしまう。

ただ、ときたま、特にきちんとモノを理解している場合は、自分でも意外なほど分かりやすく説明できる時がある。そういう時は、モノの構図・ストラクチャーが頭の中できちんと整理できていて、かつイメージがある場合が多く、ここでいうピラミッド・ストラクチャーなるものが意識できているのだと思う。

あと、著者自身がブログ&ウェブサイトの運営をやっていて一番特をしたのは自分だと言っているのも共感できる。最近は、私はこのブログなんてほとんど更新していないし、本体のウェブサイトの方もほとんど更新していないので偉そうなことは言えないのだが、学生時代、比較的今よりはまともに更新をしていた頃、サイトを作る過程で文章を書こうとすることによる試行錯誤や情報収集、質問のメールや掲示板への書き込みを貰うことによって一番特をしていたのは自分だと思っていた。だから、著者がそういうのも納得できる。

猿まねをするつもりはないが、いろいろな部分での考え方が参考になった。

ScanSnap

年末に書類の整理をしているときに、1つ問題になったのが、紙ベースでしか貰っていない古い資料の扱いだった。最近は資料がたまる一方なので、ある程度の期間使わなかった資料でファイルでもっているものはどんどに捨てるようにしているのだが、紙ベースでしか貰っていない資料を捨てるのはやはり躊躇してしまう。雑誌の切り抜きなんかもそうだ。

スペースが無尽蔵にあればまだ良いのだが、本やら何やらで部屋は窮屈になっていく一方。

ということで、ドキュメント・スキャナの購入を検討することにした。昔は、OCRの質が悪くて、使い物にならなかったみたいだが、最近では随分と便利になってきたみたいで、使っている人もいるらしいという情報も得ていたので、試してみたくなった。

決して安くはないのだが、これで書類が整理できるのであれば十分に投資の意味はあると思った。

とこらが、ちょっと調べてみると、Macで使えるドキュメント・スキャナというのは意外と少ない。プリンタをキャノンのものを使っているので、キャノンのスキャナを最初に検討したのだけれど、Macの「ま」の字も出てこない。プリンタ複合機の中に入っているものもあるみたいだが、プリンタを改めて買うつもりはないので、スキャナ単独で欲しかった。

いろいろ検討してようやく見つけたのが、ScanSnap S510。

店頭とかで見ると、ウィンドウズしか対応していないように見えるし、ウェブサイトも普通に見るとウィンドウズのことしか書いていない。でも、ウェブサイトのサポートのところをよく探すと、Mac用のドライバもダウンロードできるようになっている

実質的にはこれくらいしかなかったので、かなり頑張って、これを購入することにした。

ウェブサイトからドライバをダウンロードして、特に問題なく使えている。ただし、ウィンドウズ版では一緒にバンドルされていくるソフトのほとんどが使えない上、多分、Acrobatはウィンドウズ版しかついていないので、Acrobatを使っての編集(OCRでのテキスト認識など)をしたい場合は、自前で買わないとダメみたいだ。幸い、私は自分で持っていたので特に問題はなかったけれど。

名刺のOCRソフトもMacで使えないのは残念。あと、TWAINとかにも対応していないので、要注意かもしれない。

海外では、下記のような他言語対応型の名刺OCRスキャナもあって、一応日本語にも対応しているみたいだけれど、ちょっと名刺のためだけにこの値段は高い・・・。しかも、「日本語の認識」と書きたかったのであろう部分が「日本の認識」となっていて、それだけで既に本当に対応しているのか不安を煽られてしまう(笑)。

というわけで、名刺の整理には使えていないが、ScanSnapは、簡単操作で使えている。やや、ファイルが重くなりがちなので、PDFとしての最適化の調整でどうやったら問題がない程度にサイズを落とせるのかをもう少し研究しなくてはいけないと思うが、まあ、なんとかなっている。


といろいろ書いていたらなんだか長くなってしまった。とりあえず、こんなを活用しつつ、あとは生活を少し見直しながらなんとか今年も頑張るつもりである。