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中期目標検討委員会での議論

1月23日の第3回中期目標検討委員会会合

1月23日(金)に、政府の中期目標検討委員会が開かれた。この委員会は、その名前が示す通り、日本の温室効果ガス排出量削減の中期目標を議論する委員会だ。「中期」とは、この場合は2020年のことを指している

2013年以降の国際的な温暖化対策の将来枠組みにおいては、京都議定書の時と同様に、各国の温室効果ガス排出量削減目標が決められる。その目標は、この2020年という年を1つの目安として設定されるであろうということは、国連交渉での暗黙の前提となりつつある*1

今年の12月にその目標を含んだコペンハーゲン合意が目指されているのは、前回のエントリーでも書いた通りである。それへ向けた国連交渉の中で、今、日本がどのような目標を出すのかということが求められている。

最終的な各国の数値目標の合意は、コペンハーゲンでの国連会合の土壇場にならないとできず、ここで日本が掲げた目標がそのまま国際条約の中での義務的な削減目標になるわけではない。しかし、交渉の過程として、それ以前に、先進国として引き続き排出削減のリードをとっていくという意志を表明することが求められているのである。これがないと、途上国が削減行動に参画してくる可能性はほぼゼロに等しい。EUはすでに目標を発表しており、カナダやオーストラリアも、(とても野心的とはいえない数字だが)目標を掲げている。アメリカはまだ正式には掲げていないが、オバマ政権としての方針は今年の中ごろまでには明らかにしてくると考えられている。

こうした文脈の中で、同委員会は、昨年11月からその中期目標を検討してきている場で、1月23日の会合は3回目だった。

第3回会合では、代表的な研究機関のモデルを使用した削減シナリオの試算が比較された。大手の新聞が翌日に報道をしているので、要約はそちらを参照して頂きたい(朝日毎日日経時事共同)が、詳しく知りたい場合は、既に政府のウェブサイトに配布資料が掲載されている

この1月23日の段階ですでに、議論の雰囲気としては日本の目標は「10%前後」に集中しそうな雰囲気が漂っていたようである。「仮分析」を出してきた研究機関の中で、唯一「25%」削減の可能性を推していたのは国立環境研究所のみであり、他の主要な研究機関、特に地球産業技術研究機構(RITE)や日本エネルギー経済研究所の試算は、日本における削減コストの高さから、おおよそ10%前後が妥当とするような論調だったようである。

中期目標の選択肢についてのリーク

今週の頭の日曜日・月曜日あたりに、メディアに中期目標検討の選択試案がリークされた(共同日経)。

それによれば、検討委員会は2020年までに温室効果ガス排出量を1990年比で+5%(+7%)増加を許すという案から、-25%削減するという範囲の6案を、今後検討していくことを決めたとある。これは、明日(12日)に開催される「地球温暖化問題に関する懇談会」で示されるらしい。

地球温暖化問題に関する懇談会」は、元々前福田首相の時に作られた首相の諮問機関で、中期目標検討委員会にとっては「親」委員会である。

ここで、一端、それら6つの選択肢を検討していきますよということのお墨付きをもらって、今後、それぞれの案を具体的に検討していくということになる。

重要なのは、この選択肢のがここで決まってしまうことである。一番厳しい目標が「25%削減」ということは、それ以上の目標は検討されないということを意味する。そして、常識的に考えると、おそらく合意は、その6案の範囲の間に落ちることになる。

コストに関する議論も確かに大事なのだが、「温暖化の被害を最小限に食い止めるためにはどれくらい必要か」という視点ももちろん重要なはずである。

それにしても、選択肢の中に90年比増が含まれたというのはどうにも解せない。リーク記事だけなので判断が難しいが、温室効果ガス(CO2だけでなく)全体で、1990年比増を許すというのは、2012年に達成しているはずの京都議定書の-6%の目標から逆行し、今現在のレベルのレベルである1990年比6〜8%増(年によって多少違う)まで排出量を増加させることを意味する。そんなの、国際的に受け入れられるわけがないと思うのだが・・・。排出削減に関する中期目標への風当たりは強いと思っていたが、そこまで強いのだろうかと思った。

明日、おそらく上記懇談会が終わったら、いずれ資料等はウェブサイトに掲載されるだろうし、報道も出ると思うので、注意深く見ていきたいと思う。

*1:ただし、「約束期間」をどのように設定するかという問題はまだ結論は出ていない。