G8とMEF:長期目標で共通認識深めるも・・・

7月8日〜10日の日程で、イタリアのラクイア(L'Aquila)という場所でG8およびMEF(主要経済国フォーラム)が開催された。

元々はラ・マッダレーナ(La Maddalena)という場所で開催されるはずだったものが、ベルルスコーニ首相の気まぐれイニシアチブで、ラクイアに場所が変更になった。

もうだいぶ日が経ってしまったので、またまた「今更」ではあるけれども、

  • G8首脳宣言の気候変動関連部分
  • MEF宣言

それぞれについての感想を述べてみたい。

G8首脳宣言

G8首脳宣言と日本国外務省による日本語仮訳はそれぞれ以下で公開されている。

長期目標に関する認識の共有

首脳宣言中、気候変動分野に関するメディアによる報道で最も注目を集めていたのが、以下の長期目標に関する部分である(以下、抜粋は英語→日本語仮訳の順番)。

65. ...... We recognise the broad scientific view that the increase in global average temperature above preindustriallevels ought not to exceed 2°C. Because this global challenge can only bemet by a global response, we reiterate our willingness to share with all countries the goal of achieving at least a 50% reduction of global emissions by 2050, recognising that this implies that global emissions need to peak as soon as possible and decline thereafter. As part of this, we also support a goal of developed countries reducing emissions of greenhouse gases in aggregate by 80% or more by 2050 compared to 1990 or more recent years. Consistent with this ambitious long-term objective, we will undertake robust aggregate and individual mid-term reductions, taking into account that baselines may vary and that efforts need to be comparable. Similarly,major emerging economies need to undertake quantifiable actions to collectively reduce emissions significantly below business-as-usual by a specified year. [Emphases Added]

65.・・・・・・我々は、産業化以前の水準からの世界全体の平均気温の上昇が摂氏2度を超えないようにすべきとの広範な科学的見解を認識する。この世界的な課題は世界全体の対応によってのみ対応可能であることから、我々は、2050年までに世界全体の排出量の少なくとも50%の削減を達成するとの目標を全ての国と共有することを改めて表明する。その際、我々は、このことが、世界全体の排出量を可能な限り早くピークアウトさせ、その後減少させる必要があることを含意していることを認識する。この一部として、我々は、先進国全体で温室効果ガスの排出を、1990年又はより最近の複数の年と比して2050年までに80%またはそれ以上削減するとの目標を支持する。この野心的な長期目標に沿って、我々は、基準年が異なり得ること、努力が比較可能である必要があることを考慮に入れ、先進国全体及び各国別の中期における力強い削減を行う。同様に、主要新興経済国は、特定の年までに、対策をとらないシナリオから全体として大幅に排出量を削減するため、数量化可能な行動をとる必要がある。【強調部分は筆者】

強調部分にあるように、G8首脳宣言としては初めて、「2℃」という目標に関する「認識」を示すと同時に、その中で、先進国全体としての目標として「80%」を支持するということを宣言している。「80%」目標については、「80%またはそれ以上」となっていること、これはあくまで(個別の国々ではなく)「先進国全体」の目標であること、基準年は1990年でも、それ以降の年でも構わないとなっていること、などに留意する必要があるだろう。

危険な気候変動を防ぐためには、「2℃」という閾値を意識することは極めて重要である。その意味で、「認識する」という弱い表現ながらも、世界が達成すべき目標としてこの閾値に言及があったことは評価できる。

ただし、これを達成するためには、2050年までに50%では足りないのもよく知られるところとなっている。しかしその部分については、昨年の洞爺湖の段階から進展がない。

先進国が全体として「80%もしくはそれ以上」削減をしていくことが掲げられたというのも、評価できる内容だ。これは先進国全体の目標だが、日本は、自国の目標として、削減の福田ビジョンの中で、現状から60〜80%の削減ということを目標として掲げているので、合意できるギリギリのラインであったと想像できる。

ただし、そこへ至る道筋としての中期の目標については、「力強い削減を行う」という表現にとどまり、具体的な数値は入らなかった。欲を言えば、この辺についても、次の国連会議以前に進展が欲しかったが、現状では仕方あるまい。

排出量取引制度に対する認識とカーボン・マーケットの拡大の検討

この他、特に目を引いたのは、排出量取引およびその他のカーボン・マーケット手法に関して言及をした以下の箇所である。

69. We support flexible, economically sound market-based approaches to emission reductions. In particular, cap & trade schemes, where implemented, have proved largely successful and improved understanding of the potential advantages, critical issues and indicators. The use of market mechanisms, including those under the Kyoto Protocol, provides opportunities to reduce emissions cost-effectively, while facilitating technology diffusion, low-carbon development and the involvement of emerging and developing countries. With a view to building on these experiences and to facilitate action under the global post 2012 agreement, we commit to:
a) further explore, taking into account national circumstances, the potential of carbon trading systems and their possible linkages;
b) cooperate among us and with other countries to expand carbon markets to the extent possible and reduce costs and align emission allowance trading schemes, with a view to developing transparent carbon markets which would expand to involve emerging and developing countries, including on a sectoral basis;
c) support the development, reform and enhancement of project, programmatic and policy-based offset mechanisms, including the Kyoto Protocol’s Clean Development Mechanism (CDM), in order to encourage their use, enhance their effectiveness and environmental integrity, and facilitate actions from developing countries under the global, post-2012 agreement;
d) work with others to further develop market mechanisms under the Copenhagen agreement to possibly include sectoral trading and sectoral crediting mechanisms, to enhance the participation of emerging economies and developing countries in the market ensuring environmental integrity. [Emphases added]

69.我々は、柔軟で、経済的に健全な市場に基づく排出量削減アプローチを支持する。特に、キャップ・アンド・トレード方式は、実施されたところでは大部分が成功であることを証明し、潜在的な利点や重要な課題及び指標への理解を改善させた。市場メカニズムの活用は、京都議定書の下のものを含め、技術の普及や低炭素開発、及び新興国開発途上国の関与を促進しながら、排出を費用対効果の高い形で削減する機会を提供する。これらの経験を基礎とし、世界的な2013年以降の合意の下での行動を容易にするために、我々は以下にコミットする
a) 各国の事情を考慮しつつ、炭素取引システムの潜在力及びその可能な連関について更に探査する
b) セクター別を含め、新興国開発途上国関与させるように拡大する透明性のある炭素市場を発展させるために、炭素市場を可能な限り拡大し、コストを引き下げ、排出枠取引スキームを調整するため、我々同士や他の国々と協力する;
c) 利用を奨励し、その効果と環境十全性を強化し、2013年以降の世界的な合意の下での開発途上国の行動を促進するため、京都議定書のクリーン開発メカニズム(CDM)を含め、プロジェクト、プログラム、政策に基づくオフセットメカニズムの策定、改革及び強化を支持する
d) 環境十全性を確保しつつ新興経済国と開発途上国の市場への参加を強化するため、可能であればセクター別の取引及びセクター別のクレジット・メカニズムが含まれるコペンハーゲン合意の下の市場メカニズムを更に発展させるよう各国と協働する。【強調部分は筆者】

この辺、EU諸国の意向が非常に強く出ているという印象を受けた。

個人的にちょっと意外だったのは、「キャップ・アンド・トレード方式は、実施されたところでは大部分が成功であること」という部分。制度としては確かに良い制度だけれど、EUの排出量取引制度の第1期(2005〜2007年)は、お世辞にも「成功」とは言えない。これは、制度の設計・運用において問題があったからだ。国の威信を表明する首脳宣言の中でネガティブな表現が出てくることはそもそもあまりないので、意外性はないといえばないものの、やや無理やりな気がする。

その他、箇条書き部分において、セクトラル・トレーディング(仮訳では「セクター別の取引」)やセクトラル・クレディティングについての言及が出てくるあたりも、EUの主張が色濃く見られる。

セクトラル・クレディティングは、発想としてはCDMの延長線上にあるといっても良いが、セクトラル・トレーディングは、概念的にはキャップ&トレードにむしろ近く、その範囲限定版といえるだろう。もちろん、途上国で実施する場合は、多少の条件緩和が想定されるだろうが、いずれにしても、キャップ(排出上限)が想定される。

箇条書きのbおよびdに二度、このセクトラル・トレーディングという言葉出てきている。EUは、これを途上国の一部を巻き込むためのツールとして検討しており、これらについての「協力」や「協働」をコミットするというのは、EUの意向が強く働いたと考えられる。

これに、アメリカや日本も、少なくとも「問題なし」と判断したことは興味深い。

これらのアイディアの検討は是非にやるべきと思うものの、最近のEUの傾向は、ともすればカーボン・マーケット万能説に近い印象を受ける時もある。民間資金を動かす他の仕組みや技術促進策なども提案に組み込んで来ないと、いらぬ誤解を招くと思う。

日本が従来から提案をしているセクター別アプローチに関する言及も首脳宣言の中にはあるが、上述のように「協力」や「協働」をコミットする(約束する)という表現にはなっておらず、"can be useful tools" という表現にとどまっている。こと、仕組みを作ることに関しては、日本はなかなかEUのしたたかさには及ばない。

MEF(主要経済国フォーラム)の宣言

MEFは、アメリカのイニシアチブによって開催された会合で、G8に加え、G5と呼ばれる経済発展の著しい途上国(ブラジル、インド、中国、南アフリカ)、そしてさらに一部の国々を加えたフォーラムである。

ブッシュ政権時はMajor Economies Meeting (MEM) と呼ばれていたが、オバマ政権になってからは、名称が変えられた。

MEFでの宣言についても、以下で見ることができる。

元々が経済問題を話し合うことが目的であるG8に対し、MEFは気候変動とエネルギーがメインテーマなので、宣言もその内容をメインに扱っている。

途上国の削減行動と世界全体の長期目標

まずは、途上国の削減行動と、世界全体の長期目標について言及している部分を見てみよう。

1. Consistent with the Convention’s objective and science:
....... Developed countries among us will take the lead by promptly undertaking robust aggregate and individual reductions in the midterm consistent with our respective ambitious long-term objectives and will work together before Copenhagen to achieve a strong result in this regard. Developing countries among us will promptly undertake actions whose projected effects on emissions represent a meaningful deviation from business as usual in the midterm, in the context of sustainable development, supported by financing, technology, and capacity-building. The peaking of global and national emissions should take place as soon as possible, recognizing that the timeframe for peaking will be longer in developing countries, bearing in mind that social and economic development and poverty eradication are the first and overriding priorities in developing countries and that low-carbon development is indispensible to sustainable development. We recognize the scientific view that the increase in global average temperature above pre-industrial levels ought not to exceed 2 degrees C. [Emphases added]

1.条約の目的及び科学に沿って:
・・・・・・我々の中の先進国は、 我々のそれぞれの野心的な長期目標に沿った、先進国全体及び各国別の中期における力強い削減を敏速に実施することにより主導し、この点に関し強固な結果を達成するために、コペンハーゲンまでの間に協働する。我々の中の開発途上国は、その排出量に関する予測された効果が、持続可能な開発の文脈において、資金、技術及びキャパシティ・ビルディングによって支援される、中期的に対策をとらないシナリオから意味のある離脱を示すような行動を敏速に実施する。世界全体及び各国の排出量のピークアウトは可能な限り早期に実現されなければならず、その際、社会・経済開発及び貧困撲滅が開発途上国において最優先の事項であり、低炭素開発が持続可能な開発にとって不可欠であることを踏まえ、開発途上国におけるピークアウトのための期間はより長いものであることが認識される。我々は、産業化以前の水準からの世界全体の平均気温の上昇が摂氏2度を超えないようにすべきとの科学的見解を認識する。【強調部分は筆者】

最初の強調部分に、途上国に関する言及がある。日本語仮訳を見るとちょっと分かりにくいのだが、英語原文を見ると、ここには実は気候変動業界では見慣れた用語が並んでいる。

強調部分は要するに、「途上国は対策をとる」ということを言っているに過ぎないのだが、そこに2つ、重要な条件の言及がある。その1つが、"a meaningful deviation from business as usual in the midterm" という言葉。これは、IPCC第4次評価報告書(IPCC AR4)の中で出てくる言葉に似せられている。

IPCC AR4では、450ppmの安定化濃度を達成するために必要なシナリオにおいて、先進国は90年比25〜40%削減が必要とし、途上国はベースラインからの相当な削減(substantial deviation from baseline)が必要としている。そして、この "substantial deviation"というのがどれくらいか、ということについては、IPCC AR4の該当部分の研究を行った研究者たちが、後に「ベースライン比15〜30%の削減」であることを研究で示した。これは、途上国にとってもかなり大変な削減量である。

先ほどの"meaningful deviation from business as usual" という言葉は、これを意識した表現であることは間違いない。それを微妙に変えているというのは、逆に言えば、これと全く同じにはしたくないという意向が働いたものと考えられる。全く同じ表現であれば、このIPCCの該当部分で示唆されているような削減量を暗示することになるからだ。

もう1つの条件というのは、" in the context of sustainable development, supported by financing, technology, and capacity-building"という表現だ。これは、上のような削減は、(先進国からの)資金、技術、キャパビルといった支援を前提とした持続可能な開発の中で行われるということを言っている。つまり、あくまで途上国にとって優先されるべき開発を無視したものにはならず、しかも、それは先進国からの様々な支援を前提とする、ということを意味している。

こうした、中途半端な表現の中にも、途上国と先進国の間の微妙なバランスが見られる。

次の強調部分では、G8首脳宣言と同じく、「2℃」への言及が見られる。ただし、G8首脳宣言とは違い、世界全体の温室効果ガス排出量の「50%削減」への言及もないし、先進国・途上国双方についての具体的な数値の言及はない。

メディアによる報道では、G8では言及された長期目標の具体的数値が、MEFの宣言では消えていることに着目し、これは、「途上国が先進国の説得に応じなかったからだ」という解釈が多かった。G8首脳宣言の方では、先進国がすでに「80%削減」について言及しているので、「先進国は譲歩したのに途上国は譲歩しなかった」というストーリーになっているところが多かったような印象がある。

まあ、途上国が説得に応じなかったのは確かにそうだろうが、先進国が「80%削減」への言及したことがそもそも「譲歩」になっていたのかどうかは疑問である。

従来から、途上国が主張していたのは先進国全体としての「中期目標」であり、「資金・技術援助」の枠組みであった。先に世界全体での目標に長期であろうが中期であろうが、合意してしまうことによって、後で途上国分を割り当てられてしまうことへの途上国の警戒心を解くためには、それらを先に先進国が示すことが必要であった。

G8首脳宣言では、確かに長期目標への言及があったが、それらへの言及には失敗した。なので、途上国側の目には「譲歩」に写らなかったのであろう。

その意味では、それほど驚きはない。

技術に関するグローバル・パートナーシップ

次に注目すべき部分として、技術に関するグローバル・パートナーシップに関して言及した以下の箇所がある。

3. We are establishing a Global Partnership to drive transformational low-carbon, climate-friendly technologies. We will dramatically increase and coordinate public sector investments in research, development, and demonstration of these technologies, with a view to doubling such investments by 2015, ...... We welcome the leadership of individual countries to spearhead efforts among interested countries to advance actions on technologies such as energy efficiency; solar energy; smart grids; carbon capture, use, and storage; advanced vehicles; high-efficiency and lower-emissions coal technologies; bio-energy; and other clean technologies. Lead countries will report by November 15, 2009, on action plans and roadmaps, and make recommendations for further progress. We will consider ideas for appropriate approaches and arrangements to promote technology development, deployment, and transfer.

3.我々は、低炭素で気候に優しい転換技術の革新を推進するためのグローバル・パートナーシップを創設する。我々は、・・・・・・これらの技術の研究、開発、及び実証における公共セクターの投資を、2015年までにそのような投資を倍増させることを目指し、劇的に増加させ、調整する。・・・・・・我々は、以下の技術に関する行動を前進させるための関心国間の努力の先頭に立つ個々の国々の指導力を歓迎する:エネルギー効率性;太陽エネルギー;スマート・グリッド;炭素回収・利用・貯留;先進的自動車;効率的で低排出の石炭技術;バイオエネルギー及び他のクリーン技術。リード国は、2009年11月15日までに、行動計画及びロードマップについて報告し、更なる前進に向けての勧告を行う。我々は、技術の開発、展開及び移転を促進するための適切な取組み及び仕組みに係るアイディアを検討する。

また新しい「パートナーシップ」ができるということ自体にはそれほど感動はしないが、具体的なタイムラインが示されている点は興味深い。

まず、研究開発および実証にかかわる「公共セクターの投資」、つまり民間投資ではない政府系資金の投入を2015年までに倍増させるという目標が組み込まれている。

よく知られる通り、先進国におけるエネルギー関係の研究開発(R&D)への政府系資金への投入は、20年前と比べると実は減少している。1980年には、180億米ドルだった研究開発費は、2006年には100億米ドルになっており、政府予算全体に占める割合も、1985年時点では11%だったものが、2005年時点では3%になっている*1

「倍増」は、単純に考えれば200億米ドルということだ。「倍増」という表現は、イギリスのスターン・レビューの中で示された水準であるが、これを見ると、過去の水準を超えるものの、不可能な水準ではないと考えられる。

また、複数の技術分野において、リード国が11月15日までに行動計画とロードマップについて報告するということになっている点も興味深い。11月15日は、コペンハーゲン会議の直前である。日本はどこかでリード国になっているのだろうか。

MEF後のオバマ大統領の記者会見

さて、両方の宣言の中に書かれていないものとしては、資金の話がある。一応、資金について言及した段落はあるのだが、大した内容はない。

それについては、MEF開催後のアメリカの記者会見に注目すべき点がある。

結構長い声明なのだが、注目すべきは以下の部分だ(日本語訳はない)。

So we are looking at providing significant financial assistance to help these countries, and I want to particularly commend President Calderon of Mexico and Gordon Brown of the United Kingdom for coming up with some creative proposals that all of us are going to be exploring as to how we might finance this. We've asked the G20 finance ministers to take up the climate financing issues and report back to us at the G20 meeting in Pittsburgh in the fall.

強調部分では、次回のG20会合までに、財務大臣たちに気候変動にかかわる資金について議論をして、その内容を報告せよと命じたと言っている。次回のG20会合は、9月24・25日にアメリカのピッツバーグで開催される。

これまで、気候変動に関する資金援助の枠組みが必要であることは認識されながらも、多くの先進国において、財務省(やそれに該当する省)で真剣に議論されることは稀であった。それが、今回は首脳たちの会合の中で、それを議論しろという指示(マンデート)が与えられたことになる。

これによって、気候変動の文脈において、この次回G20会合がにわかに重要になったことを意味している。

日本でも、財務省が気候変動について積極的に発言することは稀であったが、今回は、そうしなければならない理由ができた。実際、どこまで踏み込んだ内容になるかはわからないが(特に日本は総選挙もあるので)、今後、注目すべき流れの1つであるといえるだろう。

総じて

なんだか当初予定したよりもやたらと長いエントリーになってしまった。

G8首脳宣言、MEF宣言ともに、「大幅な進展」とは呼べないが、双方に「2℃」への言及が入ったのは、正直言ってかなり意外だった。その1点をもっても、「意外な進展」がったG8と言えるだろう。

中期目標の部分等に進展がなかったのは、ほぼ想定内であり、残念ではあるが驚きはない。

資金に関して、ピッツバーグの重要性をあげたというのは、今後の交渉との関連では、(宣言文等には公式には入っていないものの)最も重要な箇所と言えるかもしれない。

*1:詳しくは、IEA. (2008) Energy Technology Perspectives. Paris, France: IEA: 171-172. を参照。