菅首相の施政方針演説の中での気候変動(温暖化)対策

今日から国会が始まった。

施政方針演説*1で、菅さん、気候変動について何かいうかなーという淡い期待を抱きつつも、仕事中にチェックすることが出来なかったので、ネットで探したら、
時事ドットコムに全文が載っていた

ザーッと全体を眺めてみたけど、ごく限定的にしか言及してなかった。

以下はその限定的な言及部分。

(開国を成長と雇用につなげる新成長戦略の実践)
さらに、この「平成の開国」を成長と雇用につなげるため、新成長戦略の工程表を着実に実施します。既に、前国会の所信表明演説でお約束した政策が決定され、実行に移されています。国内投資促進プログラムを策定し、法人実効税率の5%引き下げを決断しました。中小法人の軽減税率も3%引き下げます。観光立国に向けた医療滞在ビザも、約束した通り創設しました。地球温暖化問題に全力を尽くすため、長年議論された地球温暖化対策のための税の導入を決定しました。再生エネルギーの全量買い取り制度も導入します。鉄道や水、原子力などのパッケージ型海外展開、ハイテク製品に欠かせないレアアース(希土類)の供給源確保は、閣僚による働き掛けで前進しています。
 私自らベトナムの首相に働き掛けた結果、原子力発電施設の海外進出が初めて実現します。

気候変動(地球温暖化)問題について触れているのはほんのわずか。

極めて低率で導入が決まった地球温暖化対策税と、固定価格買取制度の導入(こちらも、太陽光以外の電源の買取価格が一律になるなどの問題点が指摘されている)についてのみ言及されている。

「3点セット」のもう1つである排出量取引制度については、事実上棚上げになったことも含めて言及されていない。

それに対し、原発の海外インフラ輸出といったあまり持続可能とはいえない事業が強調されている。

続いて下記の部分。

そして、雇用対策全般も一層充実させていきます。一つ目の柱は、雇用を「つなぐ」取り組みです。・・・
二つ目は、雇用を「創る」取り組みです。・・・そして三つ目は、雇用を「守る」取り組みです。雇用の海外流出を防ぐため、既に雇用効果が出ている低炭素産業の立地支援を拡充します。雇用保険の基本手当の引き上げも行います。

「既に雇用効果が、出ている低炭素産業の立地支援」とは、低炭素投資促進法関連の施策のことだろうか?

もう1つ気になったのは、気候変動についての外交がほとんど触れられていないこと。今年は日本にとっても正念場だとおもうのだけど。今国会に直接関連付けて言うとすれば、地球温暖化対策基本法案を通すことの重要性にひっかけて言えばよかったのでは。

唯一触れていると言えるのは下記の部分。

環境問題、保健・教育分野での協力やアフリカなどの開発途上国に対する支援、包括的な中東和平、テロ対策や国連平和維持活動(PKO)を含む平和維持・平和構築にも、各国と連携して取り組みます。国連改革・安保理改革も主導していきます。

その辺、民主党内部でもまだまとまっていないことの表れなのかもしれない。

最後に、地球温暖化対策基本法案がちょびっとだけ言及されている。

また、前国会では、郵政改革法案や地球温暖化対策基本法、日韓図書協定など、残念ながら、多くの法案・条約が廃案や継続審議となりました。これらの法案などについても十分な審議をお願いすることとなります。


首相の演説は、その時々の国家にとって大事なことについて述べる場だから、気候変動ばっかりひいきにすることはもとから無理なのは分かる。

しかし、ここにも現れている優先順位としての低さが、いまの政策停滞の一因のような気がしてならない。

*1:記:1月25日:施政方針演説と書くべきところを所信表明と書いてしまったのを訂正