IPCCの再生可能エネルギーに関する特別報告書の図表

5月9日に、IPCCが再生可能エネルギーに関する特別報告書の「政策決定者向けの要約」を公表した

5年程度の間隔で、その時々の気候変動に関する科学の集大成として出される「評価報告書」を「本編」とすれば、この特別報告書はいわば「番外編」とも言える。

過去にも、個別のテーマについて特別報告書は何編か編まれている。森林吸収源、CCSなどのテーマがあった。

今回の再生可能エネルギーの報告書は、日本の震災および原発事故の後に出てきたので、タイムリーな感じもするが、今回の報告書の作成自体は震災よりもはるか前に決まり、作成自体もそれ以前から行われていた。

今回の報告書、いろいろな図表が詰まっていて面白い。

まず、「ポテンシャル」については、各エネルギー源ともに、世界の需要をまかなう分なんてそもそも問題ではないくらいあることがよく分かる図があったり(横線が引いてあるところが、世界全体のエネルギー需要や電力需要)、

世界的にみれば、ほとんどの再生可能エネルギーが、化石燃料に対してコスト面でも競争力をつけてきていることが分かる図があったり(グラフの中で、ちょっと肌色が濃くなっている部分が化石燃料の価格帯)、

風力や太陽光のコストというのは、量が増えるほどしっかり下がってきていることがよくわかる図があったり、

検討された164のシナリオの中には、2050年の再生可能エネルギーからのエネルギー量が300EJ/年を超えるものがけっこうあって、世界全体CO2排出量が150億トンを切るのは意外とめずらしくない(現在は300億トンくらい)のがよく分かる図があったりする。

ま、分かりにくい部分もあるのだが、環境省が、日本語での解説資料も作っているので、結構活用のしがいがあるかもしれない。

6月14日に、「要約」ではない、本体の報告書の方も出るが、そちらにも面白い内容があるかもしれない。

ちなみに、上の図表で、赤い丸や線がひっぱってあるのは、私が勝手に引いたもので、オリジナルにはないので注意してほしい。