今週の日経ビジネス:イケア

今週の日経ビジネスは、第1特集がデフレの話で、第2特集がイケアについてだった。デフレの話も面白かったのだけれど、個人的にはイケアの話の方がより面白かった。

意外だったのは、イケアは上場会社じゃないということ。企業そのものは、財団の所有になるらしい。仕事上でも、(私個人は今までのところお付き合いはないのだけれど)うちの同僚や他部署ではお付き合いがあるのに、そんなところから驚くとは恥ずかしい限りだが。

最近は「誰のための会社か?」議論を聞いたり読んだりすることも多いので、財団所有で上手くいっている企業という意味では面白い事例だ。

今回の特集記事はいくつか面白い点があったが、一番面白かったのは、世界の各地域への進出にあたっての考え方。イケアは、少なくとこれまでは、進出した各地域のニーズに合わせるというよりも、あくまでイケア流をつらぬき、スウェーデン流・北欧流の住生活を売るということに重点を置いてきたという。

私はイケアのお店で買物をしたことはないけれど、一頃のブームでの印象は、やっぱり北欧風の家具が比較的安く手に入るところというイメージがある。少なくとも、日本風の家具が欲しくてイケアに行く人は多分いないだろう。

ただ、そんなイケアでも、最近では、たとえば売り方においては日本の一般的な家庭の部屋に合うような配置の中で見せて売るなど、現地の文脈に合わせる部分も出てきているらしい。

こういう、現地に合わせる部分と合わせない部分。この間の線引きは結構難しく、イケアの事例はそこに何かヒントを提供しているように思えた。そこが面白いと思った理由だ。

企業が海外進出する時に、どれくらい現地の文脈に合わせるのかというのは、結構難しいところなんだろうと思う。これは、イケアのように商品やその売り方についてある問題だけでなく、たとえば、私がいるNGO業界において海外の組織が日本で活動を展開する時に、どれくらい現地のスタイルに合わせ、どれくらいを「自分たちらしさ」を維持するのか、という問題にも繋がる問いだと思う。

ただ、特集記事を読み進めていくと、現在のイケアのデザインは、必ずしもスウェーデン流や北欧流に固執しているというわけではなくて、「世界中で使ってもらえるような『民主的な』デザイン」というところに核があるようだ。それを核に、各国に対しては微調整をする。

なんだか当たり前の戦略のような気もするが、多くの企業が海外進出で苦労している事実を考えると決して当たり前にできることではない。その辺のヒントとして面白い記事だった。