今日のFT:アメリカEPAの発電所対策

アメリカのEPAが新規発電所に関する排出基準を設定したらしい。

新規の発電所に限った対策らしいのだが、面白い動向だ。

アメリカでは、この前の選挙で議会構成が変わる前までは、キャップ&トレード型の排出量取引制度を入れることを内容とする法案が取りざたされていた。しかし、結局いくつかあった法案は入らず、選挙によって共和党有利の議会構図になり、本格的な気候変動政策の導入はストップしたままだった。

そのような中、EPAは、気候変動政策として、既存の権限をベースとして導入できることを常に模索していた。そのうちの1つがこうした発電所規制だった。

キャップ&トレード型の排出量取引や炭素税といった政策を経済的手法とすれば、こちらは直接規制の部類になる。環境規制としてはこうした直接規制の方が歴史は長く(○×という物質を出すことを制限する、等の規制)、ある意味原点回帰とも言える。

かけられる規制は、"1,000 pounds of CO2 per megawatt‐hour (lb CO2/MWh)"とのこと。1ポンドは0.4536キログラムだから、453.6 kg/MWh、日本でよく使われる単位に換算すれば、0.4536 kg/kWhということになる。

上のFTの記事によれば、英国政府の調査ではコンバインドサイクルガス発電は通常780lb-CO2/MWhで、超臨界石炭火力発電所が1,600lbs-CO2/MWhとのことなので、ちょうど、石炭からガスへのシフトを促すことになるようだ。

EPA自身による公式発表は下記にある。

この他、アメリカのNGOも色々と声明やら評価を出しているようだ。

日本と比べるとどうなのだろうか?

単純な比較には問題があるかもしれないが、下記のリンクにあるのは、排出量の計算時に使うことになっている電力の係数である。

0.4536 kg/kWhという数字と比較してみると、これよりも結構大きなところも多い。無論、日本の上の数字は、各社の既存の発電所から出てきた数字なので、あくまで「これから建てる発電所」を対象とした上記規制と純粋には比較できないが。

早速、アメリカのいくつかのNGOも声明等を出している。その辺については、US CANがウェブサイトにまとめている。