BNEFによる2017年版のエネルギー見通し

BNEF New Energy Outlook 2017

民間会社のエネルギー需給の見通しとして、最近徐々に知名度を得てきたものとして、ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスBloomberg New Energy Finance; BNEF)によるNew Energy Outlook がありますが、それの2017年版が先日発表されました。

about.bnef.com

国際機関であるIEAや化石燃料メジャーのBPの著名な見通しと違って、こちらはエネルギー全体の中で電力だけに絞っているのが特徴です。

私はBNEFのサービスを購入していないので、同報告書全文は読めないのですが、概要版は登録をすれば読む事ができます。

興味深い点

以下、ちょいと面白いと思った点をメモ代わりに列挙してみます。

まず見通しの想定として、再生可能エネルギーに関する補助金(FITを含むと思います)は、一定程度まで行ったら除かれるものと想定していることや、各国の気候変動目標については、明確な政策がない限りは、達成されるとは想定されていない、と想定していることが注意点として述べられています。

なので、見通しとしては(再生可能エネルギーに前向きなBNEFとは言え)やや保守的に出るはずですよね。

再生可能エネルギーのコスト減のペース

やはり目を引くのが、再生可能エネルギーのコスト減のペースです。

現在〜2040年までの間に、均等化発電原価(levelized cost of electricity)が、

  • 太陽光→66%
  • 陸上風力→47%
  • 洋上風力→71%

にまで下がるという予測が出されていることです。結構なコスト減ですよね。超ざっくり言えば、ほぼ半減かそれ以上ってことで、仮に現在の価格が20円/kWhだったら10円かそれ以上に落ちますってことですから。

もちろん、電力の価格は国によって差があるので、一様ではないはずですが、全世界でのペースがこれくらいというのはそれなりだと思います。

石炭火発のピークは2026年

世界全体での石炭火発発電量のピークは2026年になるだろうと予測されてます。おそらく、エネルギーの専門家がこれまで考えていた想定からするとちょっと早いのでしょうが、気候変動問題的にはもっと早く来て欲しいところでしょうね。

この背景として、現在世界で計画中の石炭火発のうち35%しか実際には建設されないだろうという予測が同時に示されています。今から石炭輸出を主軸にしようっていう日本に対しては、警鐘として響いて欲しいところです。

中でも注目度の高い中国については、現時点よりも20%も多い消費量にはなるものの、2026年に石炭消費量はピークする(頭打ちになって以降は減少に)だろうと予測されてます。2

他方、040年時点でも発電量の30%が石炭のままと・・・。

もっとも、グリーンピースの分析によれば、足元の石炭の消費量は3年連続で減少しており、かつ、その背景には石炭火発の設備過剰問題(直近の年間設備利用率は5割切ってる)があるようなので、もう少し希望はあるのかもしれませんが・・・。

energydesk.greenpeace.org

energydesk.greenpeace.org

もう1つ、注目度が高いインドについては、今後5年間で設備容量を40GW(4000万kW)増やすということで、かなり大変ではありますが、2030年になると太陽光がだんだん石炭を超し始める、という予測のようです。

そして、OECD加盟国の中では、日本や韓国のみが、石炭を増やす予測だということにも言及があります・・・。

メキシコの電力の80%が再生可能エネルギーに?

メキシコの電力構成、2040年までには80%が再生可能エネルギーになるという予測が示されています。これはかなりですよね。しかも、水力が、というのではなく、大きな部分は太陽光が、ということです。

あまり、電力の面ではメキシコって調べたことないのですが、面白いところなのかもしれません。