John Oliver 氏、見事に訴えられる

昨日、John Oliver氏のLast Week Tonight を記事でとりあげたのですが、その後、John Oliver氏は、その動画の中で批判していた石炭企業に、見事に(?)訴えられたようです。

番組の中でも「訴えられると思うけど」とは言ってましたが、本当に訴えられるとは、なんだかすごいですね。さすが、アメリカという感じ。

www.huffingtonpost.com

grist.org

www.washingtonpost.com

こうして、コメディアンもリアルに戦うんですね。

 

トランプ政権下の石炭政策および石炭産業についての風刺コメディアン動画(※英語)

最近、私が好きでよく見ている動画に、アメリカのトークショー番組で、Last Week Tonight with John Oliver というのがあります。名前の通り、ジョン・オリバーさんという風刺コメディアンの方が、その時々の話題を取り上げて、解説者っぽく、でも皮肉とユーモアを交えてオモシロおかしく20〜30分ばかり喋りまくる、という番組です。

アメリカの政治状況について、ざっくばらんに、言葉を選ばずに喋ってくれるので、難しいニュースより分かり易くて面白かったりします。もっとも、皮肉や風刺は、背景となる政治・社会・文化的背景が分からないと意味が分からなかったりするので、半分くらい正直意味分かっていないのですが・・・。ちなみにジョン・オリバーさんご自身はイギリス人です。

以前、日本のゆるキャラブームがこの番組で取り上げられたことがあって、日本のネット界でもちょびっと話題になったようです

この番組が先日、トランプ政権下での石炭政策と、石炭産業について取り上げていて、なかなか興味深かったです。動画は英語のみですが、ご興味のある方はぜひご覧になってみて下さい。


Coal: Last Week Tonight with John Oliver (HBO)

トランプ政権は、石炭産業=前政権下で不当な扱いを受けた労働者、というようなイメージで、それを救うのだ、というスタンスをとっていますが、今回のLast Week Tonight は、本当にそうなのか?を問い直しています。

今回の動画のポイントは、まず、石炭産業が落ち込んだのはオバマ政権の気候変動対策ではないこと。また、実は、石炭産業の代表的なCEOたちは他方で、炭鉱労働者の安全を無視するような行動をとり続けている、というような内容でした。

こういう、「風刺」を武器にしたニュースの伝え方というのも、面白いなと思いました。日本だとウケるかどうか微妙ですが、少し形を変えて、日本でもあってもいいのになと思いました。そういえば、そういう芸人さん、いましたよね。

 

BNEFによる2017年版のエネルギー見通し

BNEF New Energy Outlook 2017

民間会社のエネルギー需給の見通しとして、最近徐々に知名度を得てきたものとして、ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスBloomberg New Energy Finance; BNEF)によるNew Energy Outlook がありますが、それの2017年版が先日発表されました。

about.bnef.com

国際機関であるIEAや化石燃料メジャーのBPの著名な見通しと違って、こちらはエネルギー全体の中で電力だけに絞っているのが特徴です。

私はBNEFのサービスを購入していないので、同報告書全文は読めないのですが、概要版は登録をすれば読む事ができます。

興味深い点

以下、ちょいと面白いと思った点をメモ代わりに列挙してみます。

まず見通しの想定として、再生可能エネルギーに関する補助金(FITを含むと思います)は、一定程度まで行ったら除かれるものと想定していることや、各国の気候変動目標については、明確な政策がない限りは、達成されるとは想定されていない、と想定していることが注意点として述べられています。

なので、見通しとしては(再生可能エネルギーに前向きなBNEFとは言え)やや保守的に出るはずですよね。

再生可能エネルギーのコスト減のペース

やはり目を引くのが、再生可能エネルギーのコスト減のペースです。

現在〜2040年までの間に、均等化発電原価(levelized cost of electricity)が、

  • 太陽光→66%
  • 陸上風力→47%
  • 洋上風力→71%

にまで下がるという予測が出されていることです。結構なコスト減ですよね。超ざっくり言えば、ほぼ半減かそれ以上ってことで、仮に現在の価格が20円/kWhだったら10円かそれ以上に落ちますってことですから。

もちろん、電力の価格は国によって差があるので、一様ではないはずですが、全世界でのペースがこれくらいというのはそれなりだと思います。

石炭火発のピークは2026年

世界全体での石炭火発発電量のピークは2026年になるだろうと予測されてます。おそらく、エネルギーの専門家がこれまで考えていた想定からするとちょっと早いのでしょうが、気候変動問題的にはもっと早く来て欲しいところでしょうね。

この背景として、現在世界で計画中の石炭火発のうち35%しか実際には建設されないだろうという予測が同時に示されています。今から石炭輸出を主軸にしようっていう日本に対しては、警鐘として響いて欲しいところです。

中でも注目度の高い中国については、現時点よりも20%も多い消費量にはなるものの、2026年に石炭消費量はピークする(頭打ちになって以降は減少に)だろうと予測されてます。2

他方、040年時点でも発電量の30%が石炭のままと・・・。

もっとも、グリーンピースの分析によれば、足元の石炭の消費量は3年連続で減少しており、かつ、その背景には石炭火発の設備過剰問題(直近の年間設備利用率は5割切ってる)があるようなので、もう少し希望はあるのかもしれませんが・・・。

energydesk.greenpeace.org

energydesk.greenpeace.org

もう1つ、注目度が高いインドについては、今後5年間で設備容量を40GW(4000万kW)増やすということで、かなり大変ではありますが、2030年になると太陽光がだんだん石炭を超し始める、という予測のようです。

そして、OECD加盟国の中では、日本や韓国のみが、石炭を増やす予測だということにも言及があります・・・。

メキシコの電力の80%が再生可能エネルギーに?

メキシコの電力構成、2040年までには80%が再生可能エネルギーになるという予測が示されています。これはかなりですよね。しかも、水力が、というのではなく、大きな部分は太陽光が、ということです。

あまり、電力の面ではメキシコって調べたことないのですが、面白いところなのかもしれません。

 

 

 

 

トランプ大統領のパリ協定離脱宣言のヒドさと凄さ

トランプ大統領のスピーチはひどかった

すごい久々の投稿です。

6月1日の米トランプ大統領によるパリ協定の離脱宣言は、半ば予想されたこととは言え、がっかりでした。

離脱宣言そのものもがっかりでしたが、その中身がかなりひどかった・・・。

トランプ大統領は、パリ協定の内容がアメリカに対して一方的に不公平である旨をかなり強調してました。正直、「お前がそれ言うか」と思いました。パリ協定が成立するまでに、色々な国が譲歩し合って合意を作ったという事実にここまで無理解を示せるのかと、ある意味感心すらしました。

パリ協定に合意した多くの国々の感覚からすれば、オバマ大統領の下で、せっかくやる気になってくれたアメリカに対して、大きく譲歩して合意してあげたのに、というのが正直なところだと思います。

勇気づけられたアメリカ国内の反応

ただ、逆に、すごいなあと思ったのがその後のアメリカ国内の反応でした。

まず、州レベルでは、カリフォルニア州ニューヨーク州ワシントン州が、パリ協定支持を打ち出しました。

www.governor.ny.gov

州ではなく、各都市のレベルでも、市長たちが集まって、共同宣言を出しました。ロサンジェルス、ボストン(!)など、著名都市も含まれます。

medium.com

痛快だったのは、トランプ大統領がスピーチの中で引用したピッツバーグ市の反応でした。トランプ大統領は、スピーチで、「私はパリ市民を代表しているのではない。ピッツバークを代表しているのだ!」と偉そうに述べていましたが、当のピッツバーグの市長はパリ協定支持を打ち出してました。

この辺の一連の流れは、翌週頭(6月5日)に、「We Are Still In(それでも私たちはとどまる)」という国際社会に対する共同書簡という形でまとまりました。その数、実に1200以上。

www.wearestillin.com

さすがアメリカというべきところでしょうか。

なかなか、骨のある人たちがいます。これだけスピーディーに、力強いメッセージが出てきたことで、ある意味、トランプ大統領の外しっぷりが印象づけられる結果になったのではと思います。

 

「尊厳ある移住」という言葉を使わせるということ

今日は気候ネットワークのイベントで、水道橋の近くの会場へ。

 

冒頭で講演をされたキリバス共和国名誉領事ケンタロ・オノさんのお話が迫力ありました。元々は日本人で、キリバス帰化されたということで、こういう現場感のある話を日本語で聞けるというのは結構極めて稀なので、よい講演でした。

 

 


気候ネットワークのLIVE

 

その中で、「私たちは『環境難民』にはならない、『尊厳ある移住(migration with dignity』を求める」という言葉が印象的でした。

 

そういう言葉を使わせる、使わなければならない状況に追い込んでいるということを、もっと日本としてはもうちょっと自覚しておく必要があるなあとしみじみ思いました。

 

 

アメリカ・インドの共同声明

なんだか相当久しぶりな記事になってしましました。

昨年末に、歴史的なパリ協定が採択されて、国際的な気候変動対策はかなり大きなうねりがあるわけですが、目下、多くの人の関心はそのパリ協定がいつ発効するのか、ということに集まっているようです。

昨日、それに関連して1つ重要な動きがありました。

アメリカとインドが共同声明を発表して、その中で、インドも早期の発効を目指すということについて、初めて明示的に声明に盛り込まれたのです。

気候変動だけでなく、他の分野も含んでいるので、かなり長い共同声明ですが、該当部分は下記になります。

India and the United States recognize the urgency of climate change and share the goal of enabling entry into force of the Paris Agreement as early as possible. The United States reaffirms its commitment to join the Agreement as soon as possible this year. India similarly has begun its processes to work toward this shared objective.

文書の書き振りから読み取れるのは、

  • 両者とも早期発効を可能にするという目標を共有する」とやや歯切れは悪い形ではありますが、「できるかぎり早期」について合意していること
  • アメリカは、「今年」に批准するということを再度強調していること
  • インドも、「同様の手続きを始めた」とあるが、「いつ」までにかは明確にしていない

というポイントがあります。

アメリカや中国については、すでに同様の発言が見られるので、アメリカの方は真新しくありませんが、インドについては、公式な発言としてはほぼ初であると考えられます。時期を明示していないので、どうとでも読み取れるというところはありますが、それにしても、こうした共同声明で早期発効の意志が示された意義は大きいでしょう。

世界の上位5大排出国の中で、あとよく分からないのはロシアですが、ロシアについても、事務レベルではすでに批准するよという発言もあるようです。

日本は、来年の通常国会までにという発言が先頃ありましたが、果たしてどうなるか。

また、これは批准の話ではないですが、個人的に気になったのは、以下の部分でした。

The leaders reiterated their commitment to pursue low greenhouse gas emission development strategies in the pre-2020 period and to develop long-term low greenhouse gas emission development strategies.

パリ協定では、各国が長期での低GHG排出発展戦略を作ることになっているのですが、2020年までに、それを作るということについて、ここでも再び強調がされました。先日のG7(つまり主要先進国)に続き、インドについても、この意志が確認されたことになります。

先進国の中ではすでに長期計画を持っている国はあるのですが、インドのような国でも、何かを出すという方針を出した意味はそれなりにあるでしょう。

 

 

 

北極に関するシンポに出てみて

北極に関するシンポジウム

今日は、「北極温暖化の実態と影響」というイベントに行ってきました。

個々のお話は面白く、勉強になるところが多かったのですが、会場からの質問や、パネルディスカッションのモデレーターの方からの質問に対する諸回答が煮え切らない回答が多く、なんとなく消化不良な感じでした(全部とは言いませんが)。

ま、そんな愚痴はともかく、日本の北極研究も、移行期にあるのだというのがよく分かりました。行くまではよく分かっていなかったのですが、けっこう分野横断的にやろうとしたGRENE(グリーン・ネットワーク・オブ・エクセレンス)というプロジェクトが今年度でおしまいで、今度は、ARCSというプロジェクトが始まるということらしいです。「北極での激変する環境変化に、研究者の人たちもあたふたしている」というあるパネリストの言葉が印象に残りました。

シンポジウム本体とは少し離れるのですが、発表の中で使われている図表等や、会場の外にあったポスターを見ていて思ったのですが、結構、北極の状況についてのデータとかって、きっちり公開されているんですね。

家に帰ってから少し調べてみました。

日本の研究機関から提供されている北極関連のデータ・図表

気候変動の議論をしていると、北極の海氷面積が小さくなっている!というニュースは頻繁に目にします。

その時に、海氷面積の図をよく目にするわけですが、どちらかというと、アメリカのNSIDCという機関の図表が使われているのをよくみます。

ですが、日本の研究機関も、頑張ってデータを公表し、かつ可視化の努力をしています。

下記は、そのうちの一つ。

北極の海氷面積の季節変化をグラフ化したものです。北極域のデータの相互利用を目的として公開されているADS(北極域データアーカイブ)というところで公開されているグラフです。1本1本の線グラフが、1年を代表しており、横軸が月、縦軸が海氷面積となっています。2012年9月が最も海氷面積が小さかったことが分かります。

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また、これをさらに可視化したのが、ロケットで有名なJAXAの一部であるJASMES(宇宙航空研究開発機構 地球観測研究センター)のウェブサイトで公開されている「海氷ギャラリー」の画像です。こちらは、正確には「海氷面積」ではなくて「海氷密接度」を測ったものですが、イメージをつかむだけなら問題はないでしょう。

本当はこんな感じで、ダイレクトにアップしたら怒られてしまうかもしれませんが、活用されないよりはマシだろうと思うので、アップしてしまいます。いちおう、出典は明記してますので・・・。

まず、比較のために、1980年の北極の様子を、年間を通じて表示しているのがこちら。右上で、月日が経過していく模様が見て取れます。

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次に、観測史上最も海氷面積が縮小した2012年の時を表示しているのがこちらです。

こちらは画像をはてなフォトライフにアップしようとするとなぜか失敗するので、リンクを張っておきます。20メガバイトもある重い画像ファイルなのでご注意下さい。

http://kuroshio.eorc.jaxa.jp/JASMES/climate/data/gif_a/JASMES_CLIMATE_IC1_20120000_5DAVG_PS_0900_0900_NHM_200.gif

1980年代と比べると、右上の数字が9月近辺に達したときの、海氷密接度がハンパなく小さくなっているのがよく分かると思います。

ちょっと難しいですけど、こういうのも、現実に気候変動の影響によって何が起きているかを伝える上では重要なツールであるし、もっと活用されてもいいように思います。

アメリカのNSIDC

ついでなので、アメリカのNSIDC (National Snow and Ice Data Center) が公表しているデータもついでに見ておきたいと思います。私は、海外のニュースを見ることが多いせいか、北極の海氷面積に関しては、こちらのデータを見る機会が多い気がします。

グラフとしては、下記のもの。先ほどの、日本の研究機関のものとほぼ同じですね。

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また、海氷面積に関する図。先ほどと同じく、まずは1980年9月の海氷面積です。こちらは、同じくNSIDCのSea Ice Indexというページから見る事が出来ます。このような過去の図表については、アーカイブに閉まってあるので、そちらまで見に行く必要がありますが。

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そして、次に観測史上最小時の2012年9月時点での海氷面積です。

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 正直、NSIDCのウェブサイトの方が、情報提供のインターフェースは洗練されていますね。なんというか、使いやすい。でも、日本の研究機関も頑張っているので、もっともっと活用されていいなと思った今日この頃。