気候変動/温暖化問題の盛り下がり?

仕事で環境に携わる人たちと話をしていると、ここ何年かの傾向として、あきらかに気候変動/温暖化問題への関心が下がってますよね〜という話が出ます。
これは、日本国内では如実にそうですが、他の国のNGOメンバーと喋っていてもそうです。国際的には、ここ最近、IPCC第5次評価報告書の影響などもあって、また少し持ち直してきた感はありますが、それでもまだ一時期に比べると位置づけは低いと言えるでしょう。
こういう「盛り下がり」について、感覚としてだけでなく、ある程度定量的に定期的に調べている調査があります。
コロラド大学ボルダー校の研究グループとして設置されたICE CaPs (the International Collective on Environment, Culture and Politics) によるプロジェクトです。同プロジェクトは、世界全体と、いくつかの国々の主に新聞での気候変動関連記事の掲載状況を調査しています。
まず、世界全体について見たのが下記。



バリ会議のあった2007年くらいから盛り上がりが見られ、コペンハーゲン会議があった2009年12月にピークをむかえ、その後、記事の掲載数が下がっているのがよく分かります。
次が、日本について見たもの。1つ目が、主要三大紙を見たもので、2つ目が、それ以外も含めて見たもの。



こちらも、世界の動向と似ています。日本の場合、2008年くらいにもう一度ピークが来てますが、これは、北海道の洞爺湖でG8サミットが開催され、その時に気候変動が主要トピックの1つであったからだと思います。
私もこの洞爺湖G8サミットには行きました。行ったといっても、サミットの場合、NGOはメディアと一緒に、隔離された国際メディアセンターに基本的は缶詰めなんですけどね。
日本の分の調査は、国環研(国立環境研究所)の研究者の方々がやっておられるようです。
「新聞への掲載記事数」が、必ずしも「世論の関心」を代表しているとはいえないという意見もあろうかと思いますが、相当程度反映しているとは思うので、よい代理データ(プロキシー)ではあると思います。
私もたまに仕事で講演をする時に、感覚だけじゃなくて,本当に盛り下がってますよねと言うときに使わせて頂いたりします。
来年のパリでのCOP21・COP/MOP11に向けて、どれだけ、もう一度盛り上がりを作れるか。
ただ、コペンハーゲン会議の時盛り上がったものの、成果が伴わないと、またショックが大きくなってしまうので、あまりセンセーショナルに盛り上がったり盛り下がったりするのではなく、持続的に関心が払われることが重要なのだと思います。