太陽と温暖化

Skeptical Science

Skeptical Scienceというウェブサイトがあります。気候変動(温暖化)の科学について解説しているウェブサイトで、特に懐疑論と言われる議論でよく出てきそうな議論について、1つ1つ、丁寧に解説をしているウェブサイトです。色々な国の研究者の人たちが集まって作っているウェブサイトで、長く更新が続けられており、つらつらと読んでいるだけでも、大変勉強になります。
先日の当ブログの記事で言及したYeas of Living Dagenrouslyの中で出てきた、Katharine Hayhoeという科学者が、ドン・チードルに、「今の温暖化は自然現象だけでは説明できない」という説明をするシーンがあります。その時に、よく言われる太陽活動と気温変化の関係を示したグラフが出てくるのですが、「あのグラフ、どっかでみたことあるな〜」と思ったら、やはりSkeptcial Scienceで使われているのと同じでした。
Hayhoeさん自身、ウェブサイトでSkeptical Scienceを紹介しているので、やはりここからとったんでしょうね。

再現できる?

なんとなくその説明を読んでいるうちに、そのグラフ、再現できるかな〜と試してみたくなりました。最近は、科学的データのウェブでの公開は大変に広がってきていて、こういうの、意外と自分で作れちゃったりするんですよね。難しい統計的処理や数学的処理がされているグラフなんかは無理ですけど。
Skeptcial Scieneに載っているグラフは、少しデータとしては古くなってきていたので、ちょっと試してみることにしました。ちなみに、そのグラフというのは下記です。近年になると、太陽活動と平均気温の傾向には明らかな差があるので、太陽活動だけで説明しようとするのは無理があることが分かります。



同サイトでは、画像データだけでなく、元データをExcelで公開しているので、結構自由に使うことができます。

PMOD、ACRIM、RMIB???

「まあ、元データの在りかもわかっているし、結構簡単に再現できるかな」と思ったのが間違いでした。やっぱ難しいもんです・・・。

最初、試しにIPCC第5次評価報告書を見てみると、第1部会報告書の第8章に太陽に関する記述がありました。そこに掲載されていたのが下記の2つの図。
最初のは、衛星による観測が始まって以降の記録から作られたデータ。。
2つ目のは、さらに遡って、太陽の黒点観測があった頃の記録から作られたデータを合わせたものです。





太陽から地球がもらっているエネルギー(放射)の総量のことを、太陽総放射照度(TSI)と呼ぶそうです。このTSIの観測は、ざっくり言うと、衛星による観測が始まってからの1979年以降は、基本、同じデータを使いつつも、3つの研究機関・グループによるデータの作成があるそうです。
「なんで同じデータなのに3つもあるのか」と思ったら、どうやら、データを一貫したものとして再構成する手法に違いがあるようです。もともと、人工衛星のデータというのは、人工衛星自体が数年から10年弱しか持たないので、データは基本継ぎはぎで、その継ぎはぎを一貫したデータとして再構成するのに、色々な手法があるようです。
で、その3つというのが、PMOD、ACRIM、RMIBというらしく、最も有名なのは前2者で、それぞれ、スイスとアメリカの機関によるデータです。
上述のSkeptical ScienceのウェブサイトではPMODのデータを使っていたので、私も、PMODのデータをお借りしつつ、気温データについては、日本の気象庁のデータを活用して、データの再現を試みました。ただし、PMODのデータは、衛星観測がされるようになってからのデータしかないので、それ以前のデータについては、上記Skeptical Scienceに倣い、 マックスプランク研究所の研究者ら(Krivova et al. 2007)がウェブサイトで公開している、過去の黒点の数から作ったデータを使ってみました。その結果が下記です。


Skeptical Scienceのグラフでもそうですが、上のグラフでも、11年の移動平均でグラフを平滑化してます。これは、太陽の黒点周期が11年と言われており、その周期で変動があるから、だそうです。
しかし・・・です。残念ながら、きちんと再現できているとは言えません。同じPMODのデータ使っているはずなのに、カーブの形は同じでも、ちょっと数字が違いますね。おそらく、何らかの補正がされているのだと思いますが・・・なんでだろ。

IPCCの数字を使用してみたグラフ

少し色々考えたみたのですが、よくわからんので、別のアプローチをとってみることに。
先に見たIPCCの第5次評価報告書の8章には、補足資料というのがついており、そこに、最終的にIPCCが使っているTSIのデータが掲載されています。それだと、1740年からのTSIの数字が一貫した形で掲載されています。



形としては、大した違いはないのですが、こっちの方が、データに一貫性があるのでむしろいいかもしれませんね。生データに近い方を重視する人は、むしろPMODとかのデータに立ち戻った方がいいのかもしれませんが。
まあ、いずれにせよ、素人が作成したグラフですので、学術使用には耐えませんが、それでも、こうしたグラフが作成してみることができるだけ、科学データが公開される環境になってきていることは大変にありがたいことです。今回作ったデータは、下記です。いずれのグラフでも、近年は特に両者の傾向に大きな差がありますね。

IPCCでの結論

太陽と気温の関係については、よく「温暖化は太陽活動の周期のせいだ」とか「いやそうじゃない」という二元論に陥りがちですが、IPCCの結論は、「太陽「だけ」じゃ説明できなくて、人為的なCO2も、諸々含めないと説明できないよね」というものです。それを端的に示したのが下記のグラフ。



上の方にのっかっているオレンジが太陽活動の影響で、真ん中の灰色がCO2の影響です。
太陽活動による影響は、直接的なものだけでなくて、実は(ひところ話題になった)北極振動にも影響与えているなどの説もありますし、宇宙線の量に対する影響もあるという説なんかもあります。後者については、まだまだ研究が蓄積されておらず、かつ影響もそんなに大きくないだろうというのが、IPCCでの科学者たちの結論のようですが、まだまだ色々な研究がされているようです。

気候変動ドキュメンタリー:Years of Living Dangerously

ジェームズ・キャメロン監督

仕事で関係してもらっている人から教えてもらったドキュメンタリーです。

米テレビ局のShowtimeが作成したものです。ハリソン・フォードドン・チードルトーマス・フリードマンなどの著名ジャーナリストが出ているもので、基本、彼らが同時並行で世界の色々な所にいって気候変動の実情を見てくるというもの。
初回は上記で言及した3名だけですが、他のエピソードでは、ジェシカ・アルバマット・デイモン、アーノルド・シュワルツネッガーも出てきます。
監督はあのジェームズ・キャメロンです。こんだけビックなメンツを気候変動ネタに終結し、良質なドキュメンタリーに仕上げられるのはすごいですね。
というか、そもそも俳優や著名人が、こうした問題に関心を持って、自分の顔を出して発言するだけの意識があるのが、ややうらやましい。

初回話は日本でも見れる

下記のYouTube動画で見ることができる初回話では、ハリソンフォードがNASAで気候変化の状況を教わり、さらにインドネシア森林伐採を見に行く一方で、ドン・チードルはテキサスに行って干ばつの影響を見たりしています。また、フリードマンは、シリア内戦に対する干ばつの影響を調べたりとか。見れるのは残念ながら初回だけで、あとのエピソードは、一般の海外ドラマと同じく、見る事はできません。
日本のテレビ局やらどこかで、字幕版作ってくれないかなー。

6月は最も暑かった?

気象庁の世界と日本の気温データ

関東では暑い日々が続きますが、気象庁によると先月(6月)は、1891年の統計開始以降、最も暑い6月だったようです。

2014年6月の世界の月平均気温(陸域における地表付近の気温と海面水温の平均)の1981〜2010年平均基準における偏差は+0.32℃(20世紀平均基準における偏差は+0.68℃)(速報値)で、1891年の統計開始以降、最も高い値となりました。世界の6月平均気温は、上昇傾向が続いており、長期的には100年あたり約0.68℃の割合で上昇しています。

じゃあ、日本はどうだったのかというと、史上5番目だったようで。
2014年6月の日本の月平均気温の1981〜2010年平均基準における偏差は+1.08℃(20世紀平均基準における偏差は+1.62℃)で、1898年の統計開始以降、5番目に高い値となりました。日本の6月の月平均気温は、長期的には100年あたり約1.15℃の割合で上昇しています。

気象庁のウェブサイトって、結構情報充実しているんですよね。地方版の気候変化レポートとかもあって、結構勉強になります。

JAMSTECによる熱中症と気候変動の関係についての研究

時をほぼ同じくして、JAMSTEC独立行政法人 海洋研究開発機構)が、熱中症と気候変動の関係についての研究を発表しました。


独立行政法人海洋研究開発機構(理事長 平 朝彦、以下「JAMSTEC」という。)アプリケーションラボと高谷清彦氏(元東京大学大学院新領域創成科学研究科研究生)の共同研究チームは、関東地方における熱中症の死亡者数と気候変動の関係について、1980年から2010年まで約30年間の統計データ(※1)と気象観測データ(※2)の解析を行いました。その結果、死亡者数の変動と日最高気温が35°Cを越える猛暑日数の変動が強く関係しているとともに、猛暑日数の変動には熱帯域のエル・ニーニョ/南方振動現象(※3)やインド洋ダイポールモード現象(※4)が関わっていることを明らかにしました。本成果は、熱中症の発生に熱帯域の気候変動現象が間接的に関わっていることを示唆するものであり、今後、気候モデルを用いて気候変動現象を精度良く予測し、猛暑日に関する情報を事前に社会に発信することで、熱中症による被害を予防していくことが期待されます。


今年も既に気象災害が発生しています。こうした数字は、現在は必ずしも「気候変動による被害」としては認識されてません。個々の事象を「これは気候変動が原因である」と断定することは難しいからです。できたとしても、もう少し時間が経ってからでしょうね。
だからといって、こうした被害が急増している中にあって、手をこまねいているわけにもいかないので、上記のプレスリリースでも指摘がされているように、日本社会でも徐々にこうした被害への予防策を整えていかないと大変だと思います。特に、これから日本は人口減少社会+高齢化社会なので、長期的に見れば、熱中症による被害というのは、これまで以上に深刻になっていくのではないでしょうか。
そして、そもそも気候変動の進行を止めるために、温室効果ガス削減対策にもうちょっと真剣にならなければなりません。

ニューズウィークの温暖化特集に寄せて

最近、ちょっと嬉しいことがありました。
今週号(2014年7月22日号)のニューズウィークは「温暖化の暴走」という特集で、世界各地での温暖化影響のレポートが主でした。2℃を超える温暖化によってどんなことが期待されるかについて、やや煽り気味ながら(笑)、詳しく書かかれています。

週刊ニューズウィーク日本版 2014年 7/22号 [雑誌]

週刊ニューズウィーク日本版 2014年 7/22号 [雑誌]

実は、この特集の一部を書いておられるMark Hertsgaard さんという方に、以前、突然メールを頂いて、アジア地域の温暖化影響の情報を集めているが、英語での日本の情報はないかと聞かれました。その時は、残念ながらあんまり英語で整備された情報って、日本にはないんだけれども・・・と言いながら、いくつか心当たりを紹介したりしました。
余談ですが、日本って、本当に英語で海外に発信している情報が少ないんですよね。この分野に特有なのかもしれませんが、気候変動の科学的知見、影響、対策まで、英語で情報を提供するのは、結構大変だったりします。まあ、私の働いているところも、英語情報貧弱なのであんまり文句を言えた義理ではないですが・・・。
さて、このHertsgaardさんって方は、かなり昔からこうした環境問題の記事を書いておられる方で、私も学生のころに、Earth Odyssey という名前の本を、授業で読んで大変面白い(というと不謹慎ですが)と感じた覚えがあります。
Earth Odyssey: Around the World in Search of Our Environmental Future

Earth Odyssey: Around the World in Search of Our Environmental Future

私が読んだのは大学院生の時だったので、今から13年前くらいだったと思います。もう、そんな経つんですねえ。その後、日本語にも翻訳されました。日本でいえば、石弘之さんの『地球環境報告』みたいな本です。温暖化問題を始め、色々な地球環境問題の仕組みを知りたければ、より学術的な本の方がいいのでしょうが、環境問題が人や自然にとって何を意味するのかの気付きや問題関心を持つには、やはりこういうジャーナリストの方が書いた本がいいですね。
世界の環境危機地帯を往く

世界の環境危機地帯を往く

13年前に読んだ本の著者から問い合わせを受ける、というのは、嬉しい驚きです。しかも、自分が結局、その分野で仕事をすることになったので、なんというか、過去からの「初心を忘るべからず」という便りのようで。少し、昔、こうした本を読んで勉強し始めたころの気持ちを思い出しました。
Heartzgaardさんは、自前のサイトもおもちで、そこでは近著も紹介されてます。ちょっと読んでみようかなという気になりました。

ドイツでの前進、オーストラリアでの後退

メルケル独首相は再びやる気になったのか?

2010年から開始され、今年で5回目の開催となる「ピーターズブルク気候対話」(2014年7月14・15日;ドイツ・ベルリン開催)において、メルケル首相が行ったスピーチが注目を集めています。



そのスピーチの中で、メルケル首相は、国連のグリーン気候基金(GCF)に対して、7億5000万ユーロ(約1000億円)を拠出すると宣言したそうです。いくつかのニュースメディアが報じています。私はドイツ語読めませんが、多分、下記の部分でしょうね。

Ich darf für Deutschland sagen, dass wir unsere Verantwortung wahrnehmen. In der sogenannten Fast-Start-Periode von 2010 bis 2012 haben wir jährlich rund 1,4 Milliarden Euro aufgebracht. 2013 haben wir unser Engagement auf 1,8 Milliarden Euro erhöht. Und wir wollen unseren Beitrag jetzt noch einmal aufstocken. Zur Finanzierung haben die Vereinten Nationen den „Green Climate Fund“ ins Leben gerufen. In diesem Jahr steht die erste Kapitalisierung des Fonds an. Wir werden uns daran beteiligen, und zwar mit bis zu 750 Millionen Euro. Wir hoffen und setzen darauf, dass andere Staaten ebenfalls einen angemessenen Beitrag leisten.
ガーディアンの記事の中では、ノルウェーの ボアージ・ブレンデ外務大臣(Foreign Minister Boerge Brende)が、ノルウェーも、9月23日に予定されている潘基文国連事務総長主催の気候サミットにおいて、GCFへの拠出を宣言すると話していると言及されています。
GCFは、2010年のカンクン合意によって設立が決まった基金で、今後の気候変動対策に関する国際資金支援の中で主要な役割を担うことが期待されています。途上国は、150億ドル(1兆5000億円)相当の拠出を要求しています。
メルケル首相が気候変動問題について強いリーダーシップを発揮するのは久しぶりなので、上記の記事はみなそのことについても触れています。アメリカ、中国で最近、相次いでポジティブな動向が見られたことに呼応しているのかもしれませんね。
徐々にではありますが、各国のリーダーたちは、今年のリマでのCOP20・COP/MOP10、そして、来年のパリでのCOP21・COP/MOP11に照準を合わせてきているのかもしれません。

オーストラリアの後退

ドイツでそうした動きが見られる一方で、残念なニュースも出てきました。オーストラリアの議会において、排出量取引制度が廃止されることになったというニュースです。

オーストラリアでは、2011年に法案(The Clean Energy Act 2011)およびその関連法案(まとめて、the Clean Energy Future Package と呼ばれます)が通り、2012年から排出量取引制度が始まっていました。
「ん?排出量取引制度?」と思われた方もおられるかもしれませんが、メディアによっては、この制度のことを「炭素税」と呼んでいたりします。
これは同制度が、当初は、最初の3年(2012〜2015年)においては、事実上の炭素税に近い仕組みとして機能し、2015年から排出量取引制度へと移行するということになっていたためです。昨年のこの排出量取引制度への移行時期が1年早められ、2014年に移行がされることが決定されていました。この辺の制度の仕組みについては、WRIとThe Climate Institute が共同でまとめたペーパーに詳しく解説がされています。
昨年9月、選挙があり、政権が中道左派労働党から、保守連合自由党と国民連合)に交代しました。保守連合は、選挙の時から、炭素税/排出量取引制度を廃止すると宣言しており、今回のオーストラリア議会(上院)の決定は、それが残念ながら実現してしまったものです。
保守連合は、いちおう、単に廃止するだけではなく、Direct Action Plan と彼らが呼んでいる、逆オークションを活用した排出量削減の仕組みを提案しています。これは要するに、事業者に競争入札をさせて、最も安い削減方法を提案した所に政府からお金を出すという方式のようです。ただし、詳細は明らかにされていない上、全体としてどれくらいCO2を削減するのかという数値は設定されない予定です。このため、オーストラリア国内では、気候変動を重視する人々から懸念の声があがっています。
いくつかの国々が、2015年合意へ向けて議論を加速させる一方で、(日本も含めてですが)一部の国々ではこうして後退が見られます。まだまだ、来年の国際合意へ向けての道のりは険しそうです。

気候変動/温暖化問題の盛り下がり?

仕事で環境に携わる人たちと話をしていると、ここ何年かの傾向として、あきらかに気候変動/温暖化問題への関心が下がってますよね〜という話が出ます。
これは、日本国内では如実にそうですが、他の国のNGOメンバーと喋っていてもそうです。国際的には、ここ最近、IPCC第5次評価報告書の影響などもあって、また少し持ち直してきた感はありますが、それでもまだ一時期に比べると位置づけは低いと言えるでしょう。
こういう「盛り下がり」について、感覚としてだけでなく、ある程度定量的に定期的に調べている調査があります。
コロラド大学ボルダー校の研究グループとして設置されたICE CaPs (the International Collective on Environment, Culture and Politics) によるプロジェクトです。同プロジェクトは、世界全体と、いくつかの国々の主に新聞での気候変動関連記事の掲載状況を調査しています。
まず、世界全体について見たのが下記。



バリ会議のあった2007年くらいから盛り上がりが見られ、コペンハーゲン会議があった2009年12月にピークをむかえ、その後、記事の掲載数が下がっているのがよく分かります。
次が、日本について見たもの。1つ目が、主要三大紙を見たもので、2つ目が、それ以外も含めて見たもの。



こちらも、世界の動向と似ています。日本の場合、2008年くらいにもう一度ピークが来てますが、これは、北海道の洞爺湖でG8サミットが開催され、その時に気候変動が主要トピックの1つであったからだと思います。
私もこの洞爺湖G8サミットには行きました。行ったといっても、サミットの場合、NGOはメディアと一緒に、隔離された国際メディアセンターに基本的は缶詰めなんですけどね。
日本の分の調査は、国環研(国立環境研究所)の研究者の方々がやっておられるようです。
「新聞への掲載記事数」が、必ずしも「世論の関心」を代表しているとはいえないという意見もあろうかと思いますが、相当程度反映しているとは思うので、よい代理データ(プロキシー)ではあると思います。
私もたまに仕事で講演をする時に、感覚だけじゃなくて,本当に盛り下がってますよねと言うときに使わせて頂いたりします。
来年のパリでのCOP21・COP/MOP11に向けて、どれだけ、もう一度盛り上がりを作れるか。
ただ、コペンハーゲン会議の時盛り上がったものの、成果が伴わないと、またショックが大きくなってしまうので、あまりセンセーショナルに盛り上がったり盛り下がったりするのではなく、持続的に関心が払われることが重要なのだと思います。

IPCC第5次評価報告書第2作業部会報告書の発表

3月31日(月)、IPCC気候変動に関する政府間パネル)の第5次評価報告書の第2作業部会の報告書が発表されました。

いずれも最終の編集・校正作業が終わる前のもののため、リンクのURLはいずれ変わります。

今回の第2作業部会の報告書は、昨年9月に発表された第1作業部会の報告書に続くものです。第1は「自然科学的根拠」をテーマとしており、人間活動が気候変動の原因であるのか否か、気温上昇幅や海面上昇幅の予測などを扱っています。第2は「影響・適応・脆弱性」をテーマとしており、気候変動によって引き起こされる影響は一体どのようなものがどれくらい出てくるのか、そうした影響への適応の可能性はどれくらいあるのかなどが扱われています。

このあと、来週に第3作業部会があり、「気候変動の緩和」、つまり対策面での科学的知見がとりまとめられて、3つの作業部会の報告書が出そろうことになります。

今回の第2作業部会の報告書は、前回2007年の第4次の時と比べると、その間に蓄積された研究によって気候変動による影響に関する確信度が高くなっている他、「2℃上昇」と「4℃上昇」の世界における影響の対比に重点が置かれていたり、地域ごとの分析にも深みが増していたりします。

日本政府による簡単な発表はすでに出ていますが、第1の時と同様、日本語訳や解説のページもいずれ掲載されると思います

今回は珍しく、IPCCによるビデオもあります。残念ながら日本語はありませんが。

また、報告書が発表された際のプレスカンファレンスの模様も録画されています。こちらは、ウェブサイトの方に行けば、日本語の同時通訳が付いているものもあります。また、使われたプレゼンテーションも便利です

この他、日本の各NGOから出ているプレスリリースや解説等としては、以下があります。